【橋下徹研究⑦】咲洲メガソーラー入札の重大疑惑①|山口敬之【永田町インサイド WEB第7回】 「当時の入札手続きのどこが問題なのか具体的に指摘して欲しいね」と橋下徹氏。では、ご希望に応えて、2012年12月5日に行われた咲洲メガソーラーの入札の数々の問題点を指摘しよう。橋下徹さん、もうあなたは詰んでいる――。

入札手続きのどこが問題なのか

橋下徹氏は一連のツイートで「入札手続きのどこが問題なのか具体的に指摘して欲しいね」と開き直った。ご希望に応えて、2012年12月5日に行われた咲洲メガソーラーの入札の数々の問題点を指摘しよう。

この入札には、「入札公募」「入札」「落札」「成約」など手続き上の疑惑のみならず、実際に落札した企業の実態についてもいくつもの不審な点がある。

大阪市が普通に行政処理を行っていたら、資格条件を満たしていない企業が入札に参加したり、ましてや落札・成約したりすることなどありえなかった。2011年12月19日に市長に就任した橋下徹氏の関与なくして、こんな異常な処理や特例措置のようなことが連発されただろうか。

今回はまず、落札企業の資格問題を指摘する。

入札企業の資格問題

2013年当時は民主党の売買電推奨政策もあり、日本全国で太陽光事業が花盛りだった。ところが、2012月12月5日に行われた咲洲メガソーラーの入札に参加したのは、なぜかひとつの団体だけだったという。

それが「伸和工業」と「日光エナジー開発」という大阪の会社だ。このうち「日光エナジー開発」の会社のHP(スマホ版)を見ると、主な事業は「会社案内」の「社」の文字が、なぜか以下のような文字になっている。

さらにホームページのそこここにハングル文字が出てくることから、韓国系の企業であることが類推される。

この会社は、入札時に必要な書類(納税実績証明書や事業実績証明書など)を提出していない。要するに大阪市は入札資格のない企業を入札に参加させ、しかも落札したのだ。

このことについては、一部の自民党市議会議員も追及を始めている。

大阪市に問い合わせる必要すらない

3月からこの問題を指摘している私としては、市議会や市議会議員が問題解明に動き出してくれたのは大変心強い。

市議による情報開示請求や、市議会による百条委員会など、政治ならではの強制力を持って強力に、実態解明と再発防止に邁進していただくことを期待する。

しかし、日光エナジー開発の資格問題は、大阪市に問い合わせる必要すらない。入札資格を満たしていないことは会社沿革を見れば一目瞭然なのだ。

□2011年11月27日 大阪市長選挙で橋下徹氏当選
□2011年12月2日 日光エナジー設立
□2011年12月 韓国LGと提携
□2012年5月 韓国ポスコプランテックと提携
□2012年7月 中国系企業など2社と提携
□2012年8月 日本企業と提携

橋下徹さん、もうあなたは詰んでいる

日光エナジー開発の会社案内には「太陽光発電などの再生可能エネルギーインフラの開発・工事・運営」と書いているが、2011年12月2日の設立後、問題の入札が行われた2012年12月5の入札までの1年間、日光エナジー開発はいくつかの業務提携を発表しているだけで太陽光発電の施工実績はなく、発電の固定収入もない。入札段階では見方によってはペーパーカンパニーと見なされてもおかしくない状態だったのだ。

行政の立場から見ても、入札日までの太陽光発電の施工実績がゼロで、収益も事実上ゼロだから、納税実績も事実上ゼロだった。こんな状態の会社は、地方自治体の発電事業に参加できるはずがない。

大阪市の関係者によれば、市の公共事業の入札に際しては、入札希望企業の過去5年間の納税実績を確認し、滞納がないかを確認するという。開業わずか1年で納税実績のない日光エナジー開発は、入札段階で弾かれるはずの企業だったのだ。

なぜ、大阪市は入札条件を満たしておらず書類も不備だった日光エナジー開発を入札に参加させ、しかも落札も黙認したのか。

このことについて私は、当時の大阪市職員から「上から特別な指示が出ていた」との証言を得ている。他にも上海電力の参入過程で、いくつもの異常な行政判断と行政処理が行われている。これについては、5月26日発売の月刊『Hanada』7月号で概要を示すほか、今後「Hanadaプラス」でもひとつずつ解説していく。

橋下徹さん、もうあなたは詰んでいる。無駄な弁明、抗弁、逆ギレ、責任転嫁を止め、自分の関与を認めて楽になることをお勧めする。

(つづく)

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山口敬之

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