「サル痘」欧米で感染相次ぐ 各国で計50人超報告

 かつて世界で猛威を振るった「天然痘(てんねんとう)」に似たウイルスによる感染症「サル痘」の感染が、欧米を中心に相次いで報告されている。日本での感染報告はまだないが、近日中に入国制限が緩和されるだけに、日本に感染が広がらないか懸念される。

イギリス、カナダ、ポルトガルで多く報告

 「サル痘」は古代より幾度となく世界中で猛威を振るった感染症「天然痘(てんねんとう)」と同じ系統のウイルスによる感染症で、症状も天然痘に非常によく似ている。1970年ザイール(現コンゴ民主共和国)で初めて報告され、その後、中央・西アフリカの主に熱帯雨林地域で散発的に流行。特に1996年から1997年にかけてはコンゴ民主共和国で大流行し、511名の患者が発生した。また2003年にはアフリカ以外で初めてアメリカで流行し71名の患者が発生。死亡率は1〜10%とされるが、アメリカでの流行時は死者は出ていない。

 その「サル痘」の流行の懸念が、ここ数日欧米で高まっている。イギリスで18日までに9人の患者が報告されたほか、ポルトガルで14人、スペインで7人、イタリアとスウェーデンでそれぞれ1人の患者が確認され、アメリカでも18日に1人の感染が確認された。そして19日には、カナダの保健当局が感染疑いのある人が17人、フランスの保健当局も国内で初めて感染疑い者が確認されたと発表した。

WHO(世界保健機関)は各国の保健当局に対し、患者の早期発見と接触者の追跡体制を整備するよう呼びかけている。

© 合同会社ソシオタンク