核の脅し「あってはならない」 長崎、広島の高校生平和大使、ウィーンへ

ウィーンへの渡航に向けた抱負を語る神浦さん(右)と平野さん=長崎市役所

 核兵器廃絶の署名活動に取り組む市民団体「高校生平和大使派遣委員会」は19日、来月オーストリア・ウィーンで開催される核兵器禁止条約の第1回締約国会議に、長崎と広島の両被爆地から平和大使を1人ずつ派遣すると発表した。
 第24代の青雲高3年、神浦はるさん(17)=佐世保市=と、近畿大付属広島高福山校の大内由紀子さん(17)=広島県=。6月16日に出発予定。現地での行動は未定で、同会議(21~23日)に合わせ現地で行われる関連行事でのスピーチや、会議傍聴などができないか調整する。
 派遣委員会の平野伸人共同代表(75)と神浦さんが19日に長崎市役所で会見。神浦さんは中学2年までの3年間、父親の仕事の関係でロシア・モスクワで生活したといい、同国のウクライナ侵攻に「本来は平和を願う人たちだと思うので悲しい。核の力を利用した脅しは条約で禁じられているし、絶対にあってはならない」と強調した。
 核兵器への関心は高まっているとして「高校生が(核廃絶に向け)踏ん張るところだと強く感じている」「日本の若者の代表として今の世代や次の世代に核兵器の悲惨さと、なくす大切さを現地で伝えることが重要」と決意を述べた。

締約国会議への思いなどを語る中村さん(上段左端)ら

 平野さんは「国際社会で核廃絶運動が風前のともしび。彼女たちの声でもう一度盛り返し、世論の主流にしてほしい」と期待した。
 一方、核廃絶を目指し各地で活動する若者グループ「KNOW NUKES TOKYO(ノー・ニュークス・トーキョー)」も5人が渡航予定。共同代表で元平和大使の中村涼香さん(21)=長崎市出身=は18日にオンラインで会見し「自分ができることを精いっぱいやりたい」と話した。
 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の関連会合で、現地と日本をオンラインでつなぐ被爆証言会を開催し、締約国会議の会場内外でも核被害者支援などに関する提言書を配る予定という。


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