大糸線議論緒につく 部会とJR西に微妙なずれ 部会長に糸魚川市課長 期成同盟会「振興部会」

 「持続可能な大糸線」に向けた議論が緒についた。糸魚川市を含む沿線自治体で構成する「大糸線利用促進輸送強化期成同盟会」に新たに設けられた「振興部会」の初会合が19日、長野県大町市で開かれた。部会長に糸魚川市の五十嵐博文都市政策課長を選出、今後本格的な議論を始めることにしている。

部会終了後、報道陣の質問に応じる五十嵐部会長(糸魚川市都市政策課長)ら(19日、長野県大町市役所)

 会議は冒頭を除いて非公開で、終了後に五十嵐部会長ら役員とオブザーバーとして参加したJR西日本金沢支社の森下智文副支社長らが報道陣の取材に応じた。会議では「正副部会長の選出と部会設置の経過を報告し、JR西から説明があり、現状認識を共有した」(事務局)という。次回は現状認識から掘り下げた議論を行うことにしている。
 五十嵐部会長は「北陸新幹線の敦賀延伸を前に、大糸線の持続を図る方策を、関係市町村で探っていきたい」とし、あくまで大糸線の運行を維持することが前提だとした。
 森下副支社長は「きょうも大糸線の経営の厳しさについて説明した。今後も現状を共有しながら、沿線の活性化、持続可能な路線の方策について、特定の前提なく幅広く対話を進めたい」として、考え方の微妙な違いをにじませた。
 大糸線は松本(長野県松本市)と糸魚川市を結ぶ105キロの鉄道路線で、JR西日本が糸魚川―南小谷間、JR東日本が南小谷―松本間で運行している。JR西は4月、南小谷―糸魚川間(35・3キロ)の収支を公表し、2018~20年度の平均は6億1000万円の赤字。収支率(費用に対する収入の割合)は2・9%で、極めて収益性に乏しいことが明らかになっている。

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