三菱自と日産、新型の軽EV公開 今夏に発売 生産拠点の水島で式典

軽自動車タイプの新EVを披露する三菱自の加藤社長(中央右)と日産の内田社長(同左)ら

 三菱自動車(東京)と日産自動車(横浜市)は20日、共同開発した軽自動車タイプの新型EV(電気自動車)を、生産拠点の三菱自水島製作所(倉敷市水島海岸通)で公開した。三菱自は「eKクロスEV」、日産は「日産サクラ」として、今夏に発売する。脱炭素社会の実現へEVシフトが進む中、国内各メーカーが開発を急ぐ軽EVの先駆けとして注目される。

 三菱自が水島で造る新型車の発売は、軽の「eKスペース」(日産名・ルークス)が2020年3月に投入されて以来となる。新EVは、19年3月発売の軽「eKクロス」(日産名・デイズハイウェイスター)と同サイズで、両社の合弁会社が企画・開発。生産を担う同製作所は2020年8月から約80億円を投じてラインを改修した。

 この日の式典は関係者約100人が出席。新EV4台とともに両社トップが登壇し、三菱自の加藤隆雄社長は「今後も水島のものづくりの力を磨き、軽の主力工場として発展させていきたい。地域と一体で成長し、活性化に貢献できるよう努力していく」と決意。日産の内田誠社長は「EVのゲームチェンジャー(変革者)になると確信している」とアピールした。

 外観は、三菱自が売れ筋のSUV(スポーツタイプ多目的車)テイスト、日産はシンプルで落ち着いた意匠にした。それぞれ全長約3.4メートル、幅約1.5メートル、高さ約1.7メートル。軽タイプ車では初めて、車庫入れ時の操作支援システムを備えるほか、高速道の一定条件下で前方を注視していれば手放し走行もできる。航続距離は約180キロ。価格は、公的補助金を活用すれば実質180万円台からとなる。

 軽自動車は新車の国内市場で約4割を占める人気の車種で、小型・軽量のEVなら航続距離アップにつながる。メーカー各社は開発を強化しており、ホンダは24年前半、ダイハツ工業やスズキも25年までに投入する計画。

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