プジョー9X8、WEC第4戦モンツァでのデビューが決定。ロシターがレースドライバーに

 プジョー・スポールは5月20日、ポルティマオ・サーキットでオンライン・プレゼンテーションを実施し、同ブランドのル・マン・ハイパーカー(LMH)である『プジョー9X8』が、7月10日に開催されるWEC世界耐久選手権第4戦モンツァでレースデビューを果たすと発表した。

 2022年シーズンへの参加を表明しながら、現在までシリーズのトップカテゴリーであるハイパーカークラスに加わっていないプジョー。このフランスのメーカーは、ハイブリッド・プロトタイプカーの検証とホモロゲーションに向けた最終段階に焦点を当てているため、来月のル・マン24時間にも参加しないことをアナウンス済みだ。

 しかし、その次のラウンドである第4戦モンツァ6時間から、いよいよ“リヤウイングレス”ハイパーカーがWECのグリッドに加わることになった。

 ステランティスのモータースポーツ責任者であるジャン・マルク・フィノーは、2台のクルマがモンツァでレースをする準備ができているとし、ジェームス・ロシターを含む6名のドライバーが同イベントに参加することを確認した。

「ジェームス・ロシターは、我々の6人目のドライバーとなる。彼はプジョーチームとともに、モンツァでレースをするんだ」とフィノーは明言した。

 この決定は、今年3月にハースF1への復帰を果たしてプジョーのプログラムを離れたケビン・マグヌッセンの後任として、開発&シミュレータードライバーであったロシターがレースドライバーとなったことを意味する。

 日本のスーパーGT GT500などでも活躍した彼は、すでに発表されているプジョー・ワークスドライバーの5名、ポール・ディ・レスタ、ジャン-エリック・ベルニュ、グスタボ・メネゼス、ロイック・デュバル、ミケル・イェンセンとともに、イタリアのモンツァでプジョー9X8をドライブする予定だ。

 なお、2台のクルマに彼らがどのように振り分けられるかは明らかにされていないが、金曜日に行われたプレゼンテーションで映された93号車のサイドには、ロシターとデュバル、ディ・レスタの名前を確認することができた。

 プジョーのLMHシミュレーターとトラックテストの仕事の主要メンバーであるロシターは、バイコレス・レーシングからLMP1クラスに出場した2018年のWEC上海以来のシリーズ復帰を予定している。一方、彼のレースドライバー起用がフルタイムであるかどうは確認されていない。

開発&シミュレータードライバーとしてチームに参加していたジェームス・ロシターが、F1に復帰したケビン・マグヌッセンに代わってレースドライバーとなることが発表された

■WECモンツァでデビューするという決断に「無理はない」

「モンツァについては、僕にとって信じられないほどエキサイティングなことだ」と語ったロシター。

「このプロジェクトの最初の日から(レースに)参加できることは本当に“マジカル”なことで、すべてのクルーとドライバーと一緒にモンツァでレースをする機会を得たことは非常に特別なことに思える」

 プジョーにとってのWECモンツァは、2011年のILMCインターコンチネンタル・ル・マン・カップ最終戦の珠海以来、初めて参戦するトップレベルの耐久レースとなる。

 フィノーは、ル・マン24時間レースの欠場を「簡単な決断ではない」としながらも、プジョーの開発スケジュールを考えると6月中旬の開催はつねに厳しいものだったと述べた。

「チームにとってそれは難しい決断だった。なぜなら、誰もが今年のル・マンに参加したかったからだ」と同氏。

「プログラム(が始動した)当初は、今シーズンは9月に始まり(2023年の)ル・マンで終わることになっていた」

「(しかしその後、シリーズの)カレンダーは更新され、2022年に始まるシーズンの開幕がとても早くなり、ル・マンもそうなってしまった」

「ホモロゲーションの取得と同時に車の設計が凍結されるため、(2022年のル・マンに間に合うタイミングで)期待されるレベルの信頼性と性能を持つことは非常に困難だった」

「今回私たちが下した決断に無理はなかったが、我々はル・マンからわずか数週間後に現地入りすることになる」

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