長崎県議会ペーパーレス試行 6月定例会から 年50万円削減、事務効率化

タブレット端末の操作を練習する議員=県議会

 長崎県議会は6月定例会からペーパーレス化を試行。本会議用に紙で配布していた議員資料をタブレット端末で閲覧できるようにする。来年2月定例会までに常任委員会などを含め完全ペーパーレスに移行する。議会事務局によると、年間約50万円のコスト削減や事務効率化が期待される。
 9日、県議会棟の一室。「ここを押すと200ページに飛びます」。システム運営会社スタッフの説明に従い、各議員は手元の端末で資料の開き方やメモの書き込み方を練習していた。操作が分からない議員を別の議員がフォローする場面もあった。
 県議46人の年齢は37~82歳と幅広い。このため事務局は端末操作の習熟度別に計3回、説明会を開催。この日は慣れていない約20人が参加した。終了後、ある議員は「ついていくのに精いっぱいだったが、大切なので定例会までに何とかしたい」と話した。
 県議会は2年前にICT(情報通信技術)化検討チームを立ち上げ、ペーパーレス化の準備を進めてきた。資料が電子化されれば、議員は膨大な量の紙を持ち歩く必要はない。県側が内容を修正する場合も、従来は印刷し直して全議員や関係職員に配っていたが、今後は修正版をオンライン上で共有できる。さらに、県民がインターネット上で資料を閲覧しながら定例会の中継を視聴できるようにすることも検討している。
 事務局によると、端末62台を企業からレンタルした。システム整備と併せた導入経費は3年間で約2700万円。1年間で見ると、従来は紙購入や印刷などに約952万円かかっていたのが、約50万円少なく済む。
 6月定例会では、まず本会議の資料だけを電子化。段階的に紙配布を取りやめ、来年の2月定例会までには委員会を含め完全移行する方針だ。
 本紙の取材によると、県内21市町議会でタブレット端末導入やペーパーレス化(一部含む)をしているのは13議会。都道府県議会でも動きが広がっている。


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