<金口木舌>100年後も残したい宝物

 数年前にネット漫画の「100日後に死ぬワニ」が話題となった。「死」という結末に向かう主人公の一日一日を描く。当たり前にある日常の尊さやはかなさを映し出した

▼米国の環境団体のまとめによると、ワニの種のうち半数近くが絶滅の危機に直面する。生息地の破壊のほか捕獲などの影響を受ける。このままではワニの生息する環境が当たり前ではなくなる

▼県内では天然記念物のヤンバルクイナやケナガネズミが交通事故で死ぬケースが増加する。希少生物の生息地域では速度を抑えるなど、小さな命を守るために慎重な運転が求められる

▼本島北部や西表島などは世界的に貴重な自然が残り、生物が独自の進化を遂げる。世界自然遺産にも登録された。地域住民や行政を中心に自然保護の取り組みが進むが、県民一人一人の意識向上も不可欠だ

▼22日は国際生物多様性の日。多くの生物が息づく地球環境は簡単に壊れてしまうほど尊くて、はかない存在だ。豊かな自然を100年後も残すことは、人類に課せられた重要な使命と言える。

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