電動自走型ロープウエー 実用化向け実験線開設へ 神奈川・秦野に拠点

都市の上空をZipparが走行するイメージ図(ジップインフラストラクチャー提供)

 都市部での新たな交通システムを目指し、「電動自走型ロープウエー」の開発を進めるベンチャー企業「ジップインフラストラクチャー」の拠点が神奈川県秦野市菩提(ぼだい)の工業団地の一角に開所した。夏には従来のロープウエーでは困難なカーブや分岐などを備えた実験線を開設し、一般試乗などで8人乗りモデルの安全性を検証していく。東京から秦野に本社を移し「秦野発」で開発を進める同社が目標に据えるのは、2025年大阪・関西万博での実用化だ。

 「Zippar(ジッパー)」と名付けられた電動自走型ロープウエーの開発に取り組む同社は、須知高匡社長(24)が慶応大学在学中の18年に設立。東京都荒川区に本社を置き、小田原市の山間部で1人用の実証実験を重ねてきた。

 新天地の秦野で開発しているのは、8人乗りの「ジッパー」。従来のロープウエーでは困難なカーブや分岐が可能な仕組みで、「上空を縦横無尽に行き交うことができる」と須知社長。建設費はモノレールに比べ約5分の1で、1時間に最大3千人の輸送を見込めることから、都市部の渋滞解消や山間部の交通機関として期待される。「電気自動車がゴンドラの上に乗っているイメージ」(須知社長)で動力源は電池という。

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