勝田貴元が3番手に浮上。首位争いはロバンペラが僚友からリードを奪い最終日へ/WRCポルトガル

 5月21日、WRC世界ラリー選手権第4戦ポルトガルの競技3日目は、SS10~16の計7SSで争われ、デイ3を総合2番手でスタートしたTOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、チームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)を逆転して首位に浮上した。日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)も前日からひとつ順位を上げて総合3番手となり、トヨタ勢がワン・ツー・スリー体制を築いてラリー最終日を迎えることになった。

 SS合計距離が164.98kmと4日間で最長となった競技3日目。この日は午後に雨が降り出した影響で、一部のステージではウエットコンディションとなった。

 そんなデイ3を、トップに立つ僚友エバンスと13.6秒差の総合2番手で迎えたロバンペラは、出走順の不利がなくなったことでスピードアップ。7本中3本のSSでベストタイムをマークすると、午後のSS14を終えた段階でギャップを9.9秒にまで縮める。

 対するエバンスも午前のループで2度ベストタイムをマークしてチームメイトに応戦するが、雨脚が強まったSS15において最終出走者であることが不利に働き、大きくタイムを失ってしまう。

 その結果、同ステージで2番手タイムをマークしたロバンペラが、エバンスから総合首位の座を奪うことに。直近2戦で勝利している21歳の“フライング・フィン”はこの日の最終ステージとなったスーパーSSでもエバンスを先行し、最終的に5.7秒リードしてラリー最終日を迎えることになっている。

 チームメイトにポジションを奪われたエバンスは、「場所によっては、もう少しうまくやれたと思う」と述べた。

「雨は僕たちを助けてくれなかったが、カッレ(・ロバンペラ)はそのなかでうまく走っていた。明日はプレッシャーをかけ続けて、何ができるかを見極めなければならない」

 一方のロバンペラは、「午後のステージでエルフィン(・エバンス)に追いつくことができたので、本当にハッピーだ。ロングステージの途中で大雨が降り、しかもハードタイヤを履いていたのでかなり大変だったけど、差をつけようと一生懸命攻めた結果、努力が報われた」と語った。

 トップ争いの後方では表彰台を懸けた争いも白熱。前日のラリーを総合4番手で終えていた勝田はステージ3番手タイムを4度記録する好ペースで、前を行くダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)を猛追し、午前中最後のSS12を終えた段階で総合3番手に浮上した。その後も安定したペースを発揮した勝田は、このポジションを1日の最後まで守り抜いている。なお、4番手ソルドとのタイム差は5.7秒だ。

エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
ダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
総合3番手につけている勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル

■ふたりのセブがふたたびリタイアに

 競技最終日を前に総合5番手につけたのは、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)だ。彼は前日の終盤にメカニカルトラブルで総合7番手に下がったが、デイ3では午前中にふたつ順位を上げて5番手につけると、ロングステージのSS15でベストタイムを記録し、ソルドから1分近くあったタイム差を30.1秒にまで縮めている。

 Mスポーツ・フォード勢はトップから約4分遅れてクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)とピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)が総合6番手、7番手に並んだ。総合8番手のオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)を挟んでアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が総合9番手となっている。

 一方、ガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)はSS13で土手にヒットしたことで足回りを損傷。これが原因でデイリタイアとなった。

 また、前日にまさかの両者デイリタイアとなった“ふたりのセブ”はデイ3で再スタートを切ったものの、元9連覇王者セバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)がSS11でターボトラブルに見舞われてストップ。同じステージでは現チャンピオンのセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がドライビングミスからコースオフを喫した。8冠王者はその後、午前中のループを走りきったがふたたびのデイリタイアとなっている。

 ラリーの最終日となる22日(日)のデイ4は、サービスパークの北東エリアを舞台に計5本のSSで争われる。その中に含まれるSS19/21“ファフェ”は、ビッグジャンプと大勢の観客が集うことで知られる名物ステージだ。今戦の最終SS21となるファフェの2本目は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される“パワーステージ”となっている。デイ4のSSの合計距離は48.87km。リエゾン(移動区間)を含む1日の総走行距離は291.95kmだ。

クレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
ピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
SS15で総合首位に浮上したカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル

© 株式会社三栄