赤ちゃんがおなかにいると分かったのは19歳。「絶対産みたい」。意志は固かった。
現在孫2人がいる林めぐみさん(48)=越前町=は当時、まだ結婚していなかった。両親から反対されるかもしれない。でも新しい命を守りたい。「そのときの私の気持ちは、もう『母親』になっていた」
双方の親から結婚を同意してもらえたのは、相手の母親が「私も面倒見る」と言ってくれたから。だからこそ「ちゃんとしないと」「『子どもが子どもを産んだ』と思われたくない」と言い聞かせた。
家事も育児も、家業のそば店の仕事も手を抜かず、睡眠時間は数時間程度。疲れ果てて毎日涙を流した。「若くして親になるには、絶対に覚悟は必要」。実感を込めて話す。
それでも今は「幸せ」と言い切り「早婚でも晩婚でも、苦労は待っている。若いうちに苦労したからこそ、今が楽しい」。昨年生まれた孫たちを笑顔であやしながら、つぶやいた。「この先長い時間を、何世代も一緒に過ごすことができる。70代の母親が元気なうちに、ひ孫を見せることもできたのもうれしい」
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家計のやりくり悪戦苦闘
成人年齢を18歳に引き下げる改正民法で、女性が結婚できる年齢は男性同様の18歳に引き上げられた。男女とも18歳になれば、親の同意がなくても結婚できるようになった。
今春県立高を卒業した女子大生(18)は、中学2年の時から交際を続ける同級生の彼氏(18)がいるが、10代のうちに結婚しようと思ったことはないという。「経済的にも親の支えは必要。親に応援されない結婚は厳しいのでは」
同級生と交際し17歳で妊娠、18歳で結婚、出産した鯖江市のアヤさん(38)=仮名=は当初、毎日のように実家から食事を分けてもらいながら暮らした。「今振り返れば、ままごとのような新婚生活だった。2人とも何も分かっていなかった」と言う。
17歳で結婚して18歳で出産した同市のハルカさん(41)=仮名=は経験のない家事だけでなく、家計のやりくりにも悪戦苦闘した。「子どもの成長に伴いお金が必要だとは、全く考えていなかった」。4人の子どものうち2人は大学に進んだ。夫の収入だけでなく、自らも昼夜のダブルワークで生計を立ててきた。
アヤさん、ハルカさんとも上の子は既に社会人。10代で結婚する利点は、早い段階から人生経験を積めたことだといい「妊娠、出産したことで強くなれた」と口をそろえる。
19歳で出産し、40代で孫2人に恵まれた越前町の林めぐみさん(48)は、千葉県在住の長女(28)が22歳、同町に住む長男(26)も23歳で結婚した。「子どもの意思が一番大事」と、親の同意なしでも結婚できるようになった民法改正を肯定的に捉えている。
かつて林さんが体調を崩した際、当時中学生だった長女が弟の食事を用意してくれた。「わが子の前では涙を見せないと決めていたが、子どもたちに頼ってもいいんだと気付かされた」
年齢が離れていないからこそ、素直に「ありがとう」「ごめん」と言える関係になれたと振り返る。「つらいことはたくさんあったけど、若いうちに結婚したから、子どもたちと一緒に成長できた」。今は心からそう思える。
女性の結婚できる年齢が16歳から18歳に引き上げられ、男女で同じになります。
Q なぜ今まで違っていたのですか。
A 「女性のほうが体の成長が早いから」などという理由で差がつけられ、明治以来変わることなく続いてきました。男女平等の点から疑問の声が上がり、成人年齢の引き下げに伴って、ようやく統一されます。
Q 学生でも結婚できるの。
A 18歳になれば全員、大人とみなされるので可能です。これまでは20歳未満で結婚しようとすると、親の同意が必要でしたが、4月からは2人の意思だけで結婚できるようになります。
Q 心配なことは。
A 16、17歳の女性が妊娠・出産したときの子どもの立場です。今後は18歳になるまで結婚できなくなるため、子どもは「法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子」と扱われます。父親にきちんと認知されなければ、法的には養育費を求めることができなくなります。子どもの不利益にならないよう支援策を考える必要があります。
Q 性別変更の手続きも変わると聞きました。
A 心と体の性が一致しない性同一性障害の人は、裁判所に戸籍の性別変更の申し立てが18歳からできるようになります。苦しい思いに対し、少しでも早い手当てが期待されます。