【追う!マイ・カナガワ】続・複雑過ぎる道路標識(下)「平日」表記 新たに記者が提案します!

一目では分かりにくい道路標識。曜日表記に関しては「平日」で良いのでは=右は横浜市中区、左は同市旭区

 分かりにくい道路標識を何とかできませんか? 「追う! マイ・カナガワ」取材班が昨年11月、読者の疑問を出発点に横浜市中区のJR石川町駅そばの標識を取り上げ、記者が新たな標識を提案したところ、多くの反響が寄せられた。曜日表記に関しては「平日」で良いのではないだろうか。どうして「除かれた答え」を書かない意地悪をするのだろう? ほかの投稿者ともやり取りする中で、この思いに「同感」という反応を数多くもらった。

◆電車やバスは

 平日ダイヤがあるのは電車やバスだ。市バスを運行する横浜市に問い合わせたが、「平日って何曜日か?」なんて聞き方が分からない。道路標識のテーマだけに、しどーろもどーろ…。

 何とか趣旨を伝えると担当者は「平日についてなんて考えたことなかったですよ」と言い、笑い合った。「もちろん月から金曜の、休日じゃない日のことですよ。道路標識の表記も平日のほうが分かりやすいんじゃないかな」。一部は平日と土休日で、ほとんどが平日、土曜、休日ダイヤという。

 JR東日本はどうだろうか。週休1日だった時代は、平日に土曜日が含まれていたのだろうか。横浜支社に問い合わせると「元々平日、土曜、日曜休日の3区分があった」という。週休2日の普及により、1993年12月から平日、土休日の2ダイヤに変更された。「平日は一貫して休日以外の月から金曜日」ということだった。

 そもそも警察庁が言う「明瞭さ」とは何を意味しているのか。

 記者は、くだんのK氏が見せてくれた、警察の道路標識設置と管理基準の資料にある基本的留意事項の中にそのヒントを見つけた。『道路標識等の設置に当たっては、規制の実効が上がるよう…(中略)設置しなければならない』という記載だ。

 大切なのは標識の実効性だ。この点を踏まえ、「難解な標識と交通規制は担当者の自己満足で駄作だ」とK氏は言う。複雑な標識では規制の実効が上がらないばかりか、気を取られた運転手が事故を引き起こす可能性さえあるからだ。

 ならば記者は思う。「何度も“引き算”をさせられる標識は『実効』が上がっているのだろうか」。引き算をしながら前方にも注意し、完璧な解=安全運転を導き出すことは困難だ。

◆定義すればいい

 最後に警察庁に届けるならどのような提案が良いか、皆さんと考えたい。

 交通事故の裁判などを多く取り扱っている中村俊規弁護士(横浜市中区)が、標識に『平日』の表記を取り入れるための方法を一緒に考えてくれた。

 中村さんは「平日は国民それぞれが定義を持っている」ものの、標識について定める『道路標識令』の中で「明文化をすれば用語としては使える」と言う。

 同令には元々「国民の祝日」を「休日」と表示することは明記されており、「土曜日、日曜日及び休日以外の日を『平日』と表示する」といった形で、平日を定義すればいいのだ。

 「さまざまな周知が必要」という中村さんのアドバイスに従い、記者は施行まで5年の期間を置き、免許更新の際に周知する方法を提案したい。

 平日表記が実現すれば何度も“引き算”をさせられることがなくなる。従来と比べ、どちらが分かりやすいですか?

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