マスク着用"緩和"に賛否の声「熱中症リスクの方が怖い」「外した顔、恥ずかしい」 一方、福井県内学校の反応は…

マスクを着けて歩く人たち=5月20日、福井県福井市中央1丁目

 新型コロナウイルス対策で呼びかけられてきたマスク着用が、屋外などで“緩和”される。熱中症や幼児の発育への影響を懸念する福井県内関係者は歓迎する一方、マスク生活への慣れや感染への不安から「すぐに外す気にはなれない」との声も聞かれた。さまざまな受け止めがある中、県は発令中の感染拡大警報の期限としている5月29日をめどに対応を示す方針。

 屋外では会話をほとんど行わなければマスク着用の必要はないとする国の考えについて、福井市シルバー人材センターの小林昭司局長は「これからの季節はマスクで熱中症になるリスクの方が怖い。対策としてマスクを外す呼び掛けができるようになった」と安堵(あんど)する。駐車場整理や剪定(せんてい)などの受注も多く、感染拡大後は夏場に60歳以上の会員が熱中症や体調不良を訴えるケースも度々あったという。

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 着用を推奨してきた2歳以上の未就学児については「着用を一律には求めない」とし、オミクロン株による感染拡大前の方針に戻した。県私立幼稚園・認定こども園協会の徳本達之会長(早翠学園理事長・園長)は「幼児教育の観点では(マスク不要は)当然のこと」と話す。コミュニケーションや言語習得の面で、表情や口の動きが見えないマスクは大きな障害になっていたという。「園児は大人の3倍動くといわれる。マスク着用は熱中症の懸念や発達面の悪影響の方が大きい」と指摘する。

 県内の学校現場では市町教委や国のガイドラインに基づき、屋外の体育では既にマスクを外す柔軟な対応が取られている。福井市清明小学校で体育担当教諭(30)は「校内で感染者が出ている現状で、屋外でも全員一律にマスクを外すことにはならない。今後も運動の強度や熱中症リスクをみながら対応していく」と冷静に受け止める。

 一方、マスク着用が「もう普通」という福井大学4年の女子大学生(21)=越前市=は戸惑い気味。「顔の上半分だけと全体が見えるのでは印象が随分変わる。マスクを外して『イメージと違う』と思われるのは嫌。今は近所のコンビニくらいなら、マスクしてノーメークで行ける気軽さもある」と明かす。「毎日の感染者数もそんなに減ってないし、今すぐ外そうとは思わない」

 永平寺町の40代主婦も「マスクなしの顔を見られるのは恥ずかしい気持ちもある」と話す一方で「2年以上経過してコロナ対策の要領が分かってきたし、少しずつ元の生活に戻していきたいとは思う。着けるべき場面でうっかり外したままにならないよう気を付けたい」と気を引き締めた。

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