トヨタ、WRCポルトガルで1-2達成。3連勝ロバンペラの急成長に「ちょっと信じられない」とラトバラ

 5月22日、WRC世界ラリー選手権第4戦ポルトガルの最終日デイ4が、ポルトガル北部のマトジニョスを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が優勝。第2戦スウェーデンからの連勝を3に伸ばした。また、チームメイトのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合2位でフィニッシュしたため、トヨタチームはワン・ツー・フィニッシュを達成している。

 なお、週末に2度のデイリタイアを喫したセバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合51位でラリーを終えた。TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションからWRC全戦に参戦している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合4位でフィニッシュ。この結果、ドライバーズランキングで3番手となっている。

 2022年シーズン初のグラベル(未舗装路)イベントとして開催されたラリー・ポルトガル。その競技最終日はSS17~21の計5SS、合計距離48.87kmで争われた。ファフェ周辺の山岳地帯が舞台となったステージは、夜中に降った雨と一時的な小雨により、湿り気を帯びた路面もあるコンディションとなった。

 前日のデイ3で、チームメイトのエバンスに5.7秒差をつけて総合首位に立ったロバンペラは、この日のオープニングステージとなったSS17でベストタイムを記録しタイム差を8.4秒に拡げる。
 
 その後、SS19でギャップは6.6秒に縮まったものの、続くSS20でロバンペラがふたたびベストタイムをマーク。さらに、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される、最終パワーステージのSS21“ファフェ2”でも最速タイムを記録し、最終的にはエバンスとの差を15.2秒に拡げて優勝。スノーイベントの第2戦スウェーデン、ターマック(舗装路)イベントの第3戦クロアチア、そしてグラベルイベントの今戦とそれぞれ異なる路面でのラリーで3連勝を達成し、ドライバー選手権におけるリードを46ポイントに拡げている。

「今回の勝利は、自分でも少し予想外だった」と語るのは、今季4戦3勝のロバンペラ。

金曜日に出走順1番手でステージをスタートして、このように優勝争いをすることができるとは思っていなかったんだ」

「ペースは最初から最後まで良く、問題も起きず、最大ポイントを獲得できたので本当に良かった。チームのみんなにも、この結果を誇りに思ってもらいたい」

今大会最多8回のステージウインを果たしたカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
総合2位となったエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル

■ラトバラ「勝田貴元の戦いも見事だった。彼が素晴らしい走りをしたことは間違いない」

 一方、デイ2で首位に立つも、デイ3の終盤ロバンペラに逆転され総合2番手に順位を下げたエバンスは、攻めの走りで最終日を戦うも今季初の総合優勝には届かず。それでも今大会で2番目に多い6本のベストタイムを記録し、2022年シーズン初となる表彰台を獲得するなど、苦しんでいたシーズンの中でもっとも充実した内容のラリーとなった。

 また、2度のデイリタイアを乗り越え、グラベルでのクルマの特性を掴むために走り続けたオジエは、総合51位というリザルト以上に貴重な経験を積み、タフな展開となったラリー・ポルトガルを締めくくっている。

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加している勝田は、デイ3で4本のステージ3番手タイムを記録し、総合3位にポジションアップを果たして競技最終日を迎えた。彼は総合4番手につけるベテランのダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)と激しい表彰台争いを展開。

 最後のパワーステージで順位が入れ替わり、昨年のサファリ・ラリー・ケニア以来となる表彰台を僅か2.1秒差で逃すことになったが、それでも今季の最上位タイとなる総合4位を獲得し、ドライバー選手権6番手から3番手に順位を上げている

 TOYOTA GAZOO Racing WRTを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「トヨタGRヤリス・ラリー1で臨んだ最初のグラベルラリーで、素晴らしい結果を出すことができた」とチームのワン・ツー・フィニッシュを喜んだ。

「とてもうれしいが、チームが速くて信頼性の高いクルマを作ってくれたからこそ、ドライバーたちはこの週末素晴らしいパフォーマンスを発揮できたんだ。だから、チームのみんなを誇りに思う」

「カッレ(・ロバンペラ)は、我々の予想に反して見事優勝してみせた。彼がこれほど早く成長し、ラリーをリードしているときのプレッシャーに対処できるようになるなんて、ちょっと信じられない」

「エルフィン(・エバンス)もまた、今回はクリーンで素晴らしい走りをしたし、とてもいいラリーを戦ったと思う。優勝まであと一歩だったが、チャンピオンシップを戦う上で本当に貴重なポイントを獲得した。さらに、(勝田)貴元の戦いも見事だった。数秒差で惜しくも表彰台を逃すことになったが、彼がこの週末に素晴らしい走りをしたことは間違いない」

 WRCの次戦第5戦は、6月2~5日に開催される『ラリー・イタリア・サルディニア』だ。イタリアのサルディニア島が舞台となる同ラウンドは、今戦に続く今季2戦目のグラベルイベント。全体的にハイスピードなステージで構成されるが、道幅は狭く道のすぐ脇まで木々や岩が迫るため、小さなミスも許されないラリーだ。また、ラリーカーが走行すると目の細かいグラベルの下から下から硬い岩盤や石が現れ、深い轍(わだち)も刻まれるなど路面コンディションが大きく変わるのが特徴だ。さらに、この時期は例年気温が高くなることが多く、ドライバー、クルマ、そしてタイヤにも厳しいラリーとなることが予想される。

総合51位でラリーを完走したセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル

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