レイが最終ラップのトップ争いを制し、レース2で優勝。WSS300では岡谷雄太が3位表彰台を獲得/SBK第3戦エストリル

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第3戦エストリルラウンドがポルトガルのエストリル・サーキットで行われ、レース1はアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、スーパーポール・レースとレース2はジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が優勝した。野左根航汰(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)はレース2で13位でフィニッシュしている。
 
 また、スーパースポーツ30世界選手権(WSS300)では、岡谷雄太(MTMカワサキ)が今季初のポールポジションを獲得し、レース1では3位表彰台に立った。

 エストリルラウンドでは、マイケル・ファン・デル・マーク(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)がフリー走行1回目の転倒によって右大腿骨頸部の骨折により欠場となった。ファン・デル・マークはトレーニング中の負傷により開幕戦を欠場し、前戦オランダラウンドから復帰していた。また、ギャレット・ガーロフ(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)もフリー走行3回目の転倒によって負った左ひざの怪我により欠場している。
 
 レース1は気温19度、路面温度32度のドライコンディション。スーパーポールの結果により、ポールポジションはレイで、昨年自身が記録したオールタイムラップ・レコードを更新している。2番グリッドにはトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)、3番グリッドにはアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が並んだ。野左根は13番グリッドかたのスタートとなった。
 
 ホールショットを奪ったのは2番グリッドスタートのラズガットリオグル、2番手にはレイ、やや離れて3番手には5番グリッドスタートのアンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)、4番手にバウティスタがつける。この4人が後方のライダーとのギャップを築いていった。
 
 トップ争いはラズガットリオグルとレイ、そして3番手争いはロカテッリとバウティスタによってそれぞれ展開された。
 
 ラズガットリオグルはトップを守っていたが、6周目にマシンの挙動を乱したことでレイにかわされて2番手に後退する。しかしトップに立ったレイとの差はわずかで、8周目の1コーナーのブレーキングでラズガットリオグルがトップを奪い返した。ラズガットリオグルとレイは何度もトップを入れ替える激戦を繰り広げる。
 
 そのふたりの後ろには、3番手に浮上したバウティスタが少しずつ差を詰めていた。1.5秒以上あった差は、残り7周に0.5秒を切った。残り6周には、レイが1コーナーのブレーキングで突っ込みすぎラインを外したところを、バウティスタがパス。バウティスタはさらにトップを走るラズガットリオグルを追い、残り2周で完全にラズガットリオグルの背後についた。
 
 最終ラップに入ってもラズガットリオグルがトップを守り続けていたが、最終コーナーを立ち上がり、フィニッシュラインまでのストレートでバウティスタがドゥカティのパニガーレV4 Rの加速力によってラズガットリオグルをオーバーテイク。0.126秒差でバウティスタが優勝した。
 
 2位はラズガットリオグル、3位はレイだった。4位はロカテッリ、5位にはチャビ・ビエルゲ(チームHRC)が続いている。野左根は14位でレースを終えた。
 

■レース2:バウティスタとのトップ争いを制しレイが優勝

 日曜日のスーパーポール・レースはウエットコンディションでのレースとなった。レースはレイが優勝、2位はラズガットリオグル、3位はバウティスタが獲得した。野左根は11位フィニッシュだった。
 
 レース2は気温18度、路面温度19度。一部に小雨が降る難しい状況だったが、全ライダーはスリックタイヤでレースに挑んだ。3番グリッドスタートのラズガットリオグルがホールショットを奪う。しかし、6コーナーでレイがラズガットリオグルをオーバーテイクするとトップに浮上し、2番手にラズガットリオグル、3番手にはバウティスタが続く。その後、3周目にアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)がバウティスタをかわして3番手に浮上した。トップのレイ、2番手のラズガットリオグル、3番手のロウズ、4番手のバウティスタが後方を引き離し、トップ集団を形成する。
 
 1周目に2番手に後退したラズガットリオグルだったが、7周目の1コーナーのブレーキングでレイをかわして再びトップに立つ。しかし9周目の1コーナーでレイがラズガットリオグルをパス。また、10周目の1コーナーではバウティスタがロウズをオーバーテイクし、3番手にポジションを上げると、その翌周にはラズガットリオグルとレイを抜き、一気にトップに浮上した。
 
 12周目、バウティスタがバイクの挙動を乱して加速が鈍ったその先の6コーナーで、レイがバウティスタをかわすも、14周目の1コーナーでバウティスタがトップを奪還。レイとバウティスタは激しいトップ争いを展開した。4番手のロウズはやや遅れ始める。
  
 残り3周になると、3番手のラズガットリオグルと、バウティスタ、レイとの差が開き始めた。バウティスタはトップを堅守し、レイは残り2周でファステストラップを叩き出してバウティスタを追う。
 
 迎えた最終ラップ、6コーナーのブレーキングでレイがバウティスタのインに飛び込む。立ち上がりでレイに先行したバウティスタだったが、レイが再び9コーナーでバウティスタのインサイドを突いた。続く切り返しの10コーナーでもバウティスタを抑えると、そのままトップを守ってチェッカー。レイがスーパーポール・レースに続き優勝を飾った。
 
 2位はバウティスタ、3位はラズガットリオグルとなった。4位はロウズ、5位はロカテッリが獲得している。野左根は13位でフィニッシュを果たした。
 

■WSS300のレース1で岡谷雄太が3位表彰台を獲得

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)のレース1では、2021年チャンピオンのドミニケ・エガーター(テンケイト・レーシング・ヤマハ)が優勝し、2位はロレンソ・バルダッサーリ(エヴァンブロス.ワールドSSPヤマハチーム)、3位はニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・スーパースポーツ・チーム)だった。レース2もエガーターが優勝。エガーターは前戦オランダラウンドから4連勝を飾っている。2位はカイル・スミス(VFTレーシング)、3位はバルダッサーリだった。
 
 スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)では、岡谷雄太(MTMカワサキ)が今季初のポールポジションを獲得した。レース1ではマルク・ガルシア(ヤマハMSレーシング)が優勝し、2位はサミュエル・ディ・ソラ(リーダーチーム・フレンボ)、そして岡谷が今季2度目の表彰台となる3位を獲得している。レース2は途中でレッドクロスが振られる難しいコンディションとなり、こうしたコンディションの中、ディ・ソラが優勝、2位はイニゴ・イグレシアス(SMWレーシング)、3位はミルコ・ジェンナイ(チームBrコルセ)が獲得。岡谷は8位だった。

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