<レスリング>【2022年東日本学生リーグ戦・特集】学連選抜チーム(東北学院大・国際武道大)が初参加、2位の好成績を残す

 

東北学院大と国際武道大の選手で臨んだ学連選抜チーム。右端が後藤大地監督、その左が小林孝至監督

 3年ぶりに開催された2022年東日本学生リーグ戦は、部員不足で団体戦のメンバーが組めない大学のために学連選抜チームによる参加制度が導入された。スタートとなった今年は、東北学院大国際武道大が“タッグ”を組んで参戦し、前回優勝の防大を破る幸先いいスタート。最後は4勝1敗の成績を残し、2位に入った。

 本来ならリーグ戦に出場できなかった選手に、リーグ戦のマットを経験させるだけではなく、入賞も経験させられる新制度。大会直前まで両チームに接点はなく、監督同士、お互いの電話番号も知らなかったと言う。選抜チームで臨むことが決まっても、千葉・勝浦市と宮城・仙台市が拠点ということで合同練習などもできず、会場の駒沢体育館で初めて対面するという即席チームでの参加。

 幸運にも選手の階級が重なることがなく、5階級(東北学院大3階級、国際武道大2階級)で選手を出すことができた。東北学院大の後藤大地監督は「階級が重ならなかったのはよかったです。混成チームですが、チームとして挑むことで一体感はありました。結果も出せて、よかったです」と初めての試みに感謝。「選手にとっては、とにかく試合を経験できることはいいことです」と続けた。

“チームメート”が頑張れば刺激になる!

 どのチームも最低限度の部員数がいることが理想で、それを目指さねばならないが、この制度によって救われるチーム・選手が出てくるのも事実。同監督は「来年以降、3大学でチームをつくったり、選抜チームが2チームできたりすることもあるでしょう。それによって横のつながりができれば、いいことだと思います」と話した。

東北学院大選手が闘う時は後藤監督(左)が第1セコンドで、小林監督が第2セコンド

 国際武道大の小林孝至監督(1988年ソウル・オリンピック金メダリスト)は「横のつながりの大切さや、ありがたみを感じました」と振り返る。これまでは、他大学の選手は“敵”という意識もあったが、同じチームになることで“同士”という感覚ができると言う。

 今年に限れば全選手の階級が違うので、このあとの個人戦の大会で闘うことはなく、違う階級で競い合うライバルになる。知らない選手が頑張っても刺激にはならないだろうが、“チームメート”が頑張れば刺激になり、モチベーションを高めることにも役に立ちそう。合同でウォーミングアップすることもあるはず。小林監督は「団結して上を目指すきっかけになる」と話し、部の存続に向けても大きな効果があると感じている。

 東日本学生連盟は、学連選抜チームの結成のほか、抽選で試合順を決める方式を採用し、デジタルパンフレットの導入などプログレッシブな活動をしている。その試みのひとつは、間違いなく成功したと言えるだろう。

▲東北学院大の選手にとって、オリンピック金メダリストの指導を受けられる貴重な機会となった

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