「ノーモア・ヒバクシャ」実現を 東京のNPOと被団協がオンラインシンポ

被爆者運動の資料保存についてオンラインで意見を交わす参加者

 被爆者運動の資料保存や活用に取り組む東京のNPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の設立10周年を記念したシンポジウム「今こそ“ノーモア・ヒバクシャ”」が21日、オンラインであった。参加者からは「生の資料に触れる機会は貴重」などとアーカイブ事業に期待する声が相次いだ。
 同会は被爆者関係の資料を保存しようと、2011年12月に設立。▽原爆被害・体験の実態調査資料や研究資料▽被爆者運動史資料▽原爆体験記▽被爆者による小説や絵画-の収集、保存活動に取り組んでいる。
 シンポは同会と日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の共催で、昨年から10周年企画を実施。今回は第3弾で、継承の在り方について平和活動に取り組む団体と意見交換した。
 約50人が参加。同会事務局の栗原淑江さんが活動を報告した後、4団体の代表者がパネルディスカッション。このうち、昭和女子大で18年から4年間実施した「戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト」メンバーで3年の桑原美陽さんは、同会の資料を保存する事務所を訪れた際のことに触れ「被爆者の半生や思いを知ることができた。今後もアーカイブ事業に力を入れてほしい」と述べた。
 またロシアによるウクライナ侵攻を受けた情勢への議論もあり、被団協事務局の濱住治郎次長は、被爆者がつないできた理念である「ノーモア・ヒバクシャ」実現に向けた取り組みが、核兵器廃絶につながるなどと述べた。


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