戦国時代の山城、神宮寺城跡の観光地化へ保存会発足 福井県あわら市、お手本は朝倉氏遺跡

神宮寺城跡保存会の設立を記念して開かれた講演会=5月21日、福井県あわら市細呂木公民館

 福井県あわら市の神宮寺城跡保存会は5月21日、同会の設立を記念した講演会を、同市細呂木公民館で開いた。参加した地元住民は、講師を務めた朝倉氏遺跡保存協会(福井市)の岸田清会長から朝倉氏遺跡の歴史や県内随一の史跡となった経緯を学び、今後の神宮寺城跡の在り方を考えた。

 神宮寺城跡は、あわら市細呂木地区にある東西約270メートル、南北約250メートルにおよぶ加賀丘陵最大規模の山城。戦国時代、越前国主の朝倉氏にとって最大の敵は加賀国の一向一揆であり、神宮寺城は一向一揆に対する重要な防衛拠点だったという。

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 保存会は地元住民が昨年7月に設立した。あわら市民を中心に神宮寺城跡を周知するとともに、貴重な地域資源として調査や整備を行い、観光地化への機運醸成を図る。

 講演会には地元住民ら約60人が参加した。岸田会長は朝倉氏の歴史や遺跡の特徴を説明。発掘調査などを巡る行政との交渉について「何事も機会を逃さず決断することが重要」と強調した。

 神宮寺城跡の活用については、近隣自治体やほかの観光地との連携のほか、地域住民の積極的な取り組みの重要性を挙げ、「神宮寺城があったからこそ、朝倉氏はより栄えた。観光地にしていくのは大変だが、がんばってほしい」とエールを送った。

 保存会は今後も講演会を予定している。

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