参議院選挙当選者平均年齢と国会議員の年齢構成について観察してみる(データアナリスト 渡邉秀成)

2022年7月に執行予定の第26回参議院選挙が迫っています。
報道機関が行う情勢調査、政党、立候補予定者等が独自に行う各種調査が少しずつ行われています。
調査電話等がかかってきた方もいるのではないでしょうか?

今回の選挙では電気、ガス、ガソリン価格等のエネルギー価格の上昇に対する対応等、国民生活に密接に関係する事柄や、憲法改正について各政党がどのように対応するのかについて問われてくるものと思います。

近づく参議院選挙ですが、今回は参議院選挙当選者の平均年齢は何歳くらいなのか?
そして国会は何年生まれの議員で構成されているのか?について観察していきたいと思います。

まず最初に参議院議員選挙当選者の平均年齢について、総務省自治行政局選挙部 令和元年7月21日執行 参議院議員通常選挙結果調のデータを用いてグラフ化したものが下記になります。

上記グラフを見ると平均当選年齢は55歳程度で推移していることがわかります。
第12回、第13回参議院選挙では平均当選年齢が60歳になっており、この2回の選挙が最も当選者平均年齢が高くなっています。
選挙ごとに立候補者の年代別割合が異なることも考慮する必要もありますが、おおよそ50歳半ばの年齢で当選している人が多いことが確認できます。

上記グラフは当選者平均年齢ですが、より具体的に年齢別に当選者の割合についてもグラフにしてみます。

第16回選挙から30代当選者の割合が少しづつ増えてきましたが、第24回、第25回からは全体に占める割合が減少しています。
40代当選者の割合が15回以降、上下しながらも全体に占める割合がふえていることも見て取れます。

参議院選挙では全体的に40から60代の当選者の割合が多く、この中では若い世代にあたる30代の当選者割合が少ないことがわかります。

これにはさまざまな理由があると考えられますが、その一つに選挙に出るためには多額の供託金が必要とされることが挙げられると思います。
日本では衆議院選挙小選挙区、参議院選挙区では300万円の供託金が必要とされますが、ドイツ、フランス等では供託金はなしであったりします。

選挙では多くの人に候補者、政党を知ってもらうために多くの宣伝広告費を費やしますが、それ以外にも多額の供託金を用意する必要であるとなると、選挙を考えていても経済的ハードルが相当高くなることは容易に想像ができます。
この供託金についても改正が加えられれば、当選者に占める30代の割合ももう少し増えるのかもしれません。

ここまでは参議院選挙当選者の平均年齢、当選者の年代別割合について見てきました。

次に、2022年4月現在国会はどのような年齢層で構成されているのかについても見ていきます。
田中角栄氏は戦争体験がない政治家が増えてきた場合についての懸念を話していたとされますが、現在の国会はどのような年齢構成になっているのかについても触れておきます。
戦争体験が有るのと無いのでは、不安定な情勢の中での判断も大きく異なることが考えられるからです。

利用するデータは衆議院1、参議院2の議員一覧表によるデータです。
*1 [https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/syu/1giin.htm](https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/syu/1giin.htm)
*2[https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/200/giin.htm](https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/200/giin.htm)

 上記サイトのデータを用いて衆議院議員、参議院議員全体の誕生年別人数をグラフ化したものが下記になります。

 日本における終戦の日が1945年8月15日として、それ以前に誕生日を迎えている衆議院、参議院議員の国会議員は2022年4月現在19人。
1935年生まれの国会議員が最年長となります。
 国会議員全体に占める割合としてはごく僅かであることが確認できます。
 「戦争体験がない政治家が増えてきた時どうなるか」等、田中角栄氏が話していたとされる時代に、現在の日本は確実に入ってきていると言えそうです。

 マス・メディア報道で流れてくる政治家名をこのグラフを見ながら、どのあたりの年代に誕生してきたのかを見ると、戦争体験があるのか、戦争等について親親族等から話を聞かされてきて育った世代であるのか等を考えるきっかけになります。

 メディアで見聞きする国会議員は高度成長期に青年時代を過ごしたのか、バブル経済崩壊の失われた30年の間に青年期を過ごしたのか、どのような時代を過ごしてきたのかを各種公的資料と組み合わせながら発言等を観察すると
面白いことに気づいたりすることもあるかもしれません。

 この2022年夏に予定されている第26回参議院選挙後にはしばらく国政選挙はないことが予想されますので、今回の参議院選挙はより重要度が増すものと思われます。

 そのようなこともあり今回は参議院選挙当選者の平均年齢、国会議員の年齢構成等について観察してみました。

追記:衆議院、参議院の国会議員一覧は便利なのですが衆議院、参議院で表形式が異なっているので統一された形式であると閲覧者は見やすくなると思います。
 そして、衆議院議員、参議院議員の各議員紹介部分内に文章の一部として議員の誕生年、経歴が一緒に含まれています。
 これを誕生年等、項目別に分類して掲載してあると見やすいと思います。
 そして誕生年は西暦、和暦を併記する形式であるとデータ利活用がしやすいと思います。
 韓国の議員紹介*のように名前、誕生日、電話番号、ウェブサイトアドレス等がそれぞれの項目別にわけて掲載してあると見やすく、データ利活用もしやすいと考えます。
 そして可能であれば過去から現在に至る衆議院議員、参議院議員の誕生日、選挙区、政党等のデータをすべて、
CSV形式で公開されることを望みます。
 また、総務省が公表する選挙結果調内で記載されているデータはCSV形式で公開されることを望みます。

*[https://korea.assembly.go.kr:447/mem/mem_01.jsp](https://korea.assembly.go.kr:447/mem/mem_01.jsp)

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