“壊滅前”の映像発見 長崎市浦上地区 爆心直下の鉄橋、路面電車停留所…

長崎市松山町の下の川に架かっていた旧国鉄の鉄橋(手前)。爆心地から約300メートル離れた場所にあった。映像では汽車が画面左から右に走っている(おもちゃ映画ミュージアム提供、一部補正)

 長崎原爆で壊滅する前の長崎市浦上地区を撮影した映像が、24日までに見つかった。太平洋戦争前の1932~33(昭和7~8)年ごろとみられ、爆心直下の下の川に架かっていた旧国鉄の「鉄橋」や、路面電車の「下ノ川停留所」などが映っている。原爆関連資料に詳しい専門家によると、これらの戦前の映像が発見されたのは初めて。
 雲仙市の開業医、故菅重義さん(享年71歳)が家庭用フィルムカメラで撮影した。重義さんの死後、家族がフィルムを発見。寄贈を受けた「おもちゃ映画ミュージアム」(京都市)の太田米男代表(72)が一部をデジタル化した。
 被爆前の旧浦上天主堂、旧長崎医科大付属医院(現・長崎大学病院)、街を行き交う人々など、戦前の穏やかな日常風景が収められている。映像を分析した長崎平和推進協会写真資料調査部会の松田斉部会長(66)は「浦上周辺の資料は原爆で焼けたものも多い。特に動画は情報量が多く貴重だ」と語る。


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