【宮内庁トップ】飛鳥時代から続く!? 「宮内庁長官」の役割や年収、仕事内容について解説

© 株式会社ブレイク・フィールド社

宮内庁長官の仕事

宮内庁長官は、皇室や皇室の儀式に関する事務、御璽(ぎょじ、法律などに押印)・国璽(こくじ、外交文書などの国書に押印)の保管などを行う宮内庁の事務の統括、職員の業務の取りまとめを行います。

宮内庁の歴史は古く、飛鳥時代に律令が制定され、天皇陛下を中心として二官八省が設置され、その中の1つに「宮内省」がありました。近代に入ってからは1869年に律令時代の「宮内省」にならって近代の宮内省が設置されます。

1885年に内閣制度が発足すると、天皇陛下を政治利用させないために政府と宮中は相互不干渉の体制になりました。そのため、現在のような内閣の外局という位置付けではなく、宮内省が独立した機関として機能していました。

宮内庁長官は仕事上、天皇陛下や皇族と接する機会があるため、発言を聞いたり、意見などを述べたりすることがあります。

しかし、慣例として天皇陛下が考えていることや、発言したことを外部に漏らすことは禁じられています。発言を漏らすことで、天皇陛下の政治利用につながるためです。この慣例は、戦後からではなく内閣制度の発足によって定着してきました。自身の発言には、特に注意する必要がある役職といえるでしょう。

宮内庁長官の選任の仕方

宮内庁長官の選任がどのように決まっているかは、必ずしも明らかにされてはおらず、適任者がいる場合に選ばれているようです。

2022年5月現在の宮内庁長官である西村泰彦氏が、長官になる前の宮内庁次長に選任されるにあたってのエピソードがあります。2016年8月8日に、現在の上皇陛下から「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」が発せられました。それを受けて官邸では、内閣官房を事務局とした有識者会議を開催することを決定し、天皇陛下の譲位に向けて議論が交わされることになります。

その時期に、宮内庁長官の退任とともに宮内庁次長が昇格します。宮内庁次長が空席となったため、菅官房長官の肝いり人事として、内閣官房で内閣危機管理監の西村泰彦氏を選任しました。

警察庁出身者の宮内庁次長の起用は、鎌倉節(さだめ)氏以来で、「秘録 退位改元——官邸VS.宮内庁の攻防1000日 」(朝日新聞取材班)によると、「鎌倉氏がそうだったように、『なりません』とはっきりモノを言ってもらわなければならない」と、人事の狙いについて官邸幹部が発言したことが明らかにされています。

宮内庁長官の年収

宮内庁長官は国家公務員の特別職に該当し、同等の官職には各省の副大臣や、内閣官房副長官、内閣法制局長官がいます。年収は、俸給月額と地域手当、期末手当に絞って図表1にて算出していきます。

図表1

出典:人事院「国家公務員の諸手当の概要」

※1 地域手当はその地域の物価に応じた手当のことで、東京の場合俸給月額の20%分が支給されます。
※2 期末手当はいわゆるボーナスのことで、特別職の場合俸給月額の3.25ヶ月分が支給されます。

宮内庁長官の年収を計算すると、2938万5400円になります。

宮内庁長官になる方法

宮内庁長官になるにあたっては、宮内庁次長を経て就任することが多いです。対象となるのは、旧内務省系の省庁で事務次官などの経験者になります。旧内務省系の省庁とは、現在の総務省や、厚生労働省、国土交通省、警察庁、文化庁のことです。つまり、旧内務省から流れをくんだ省庁となるため、旧自治省や建設省、厚生省、労働省も含まれています。

もし宮内庁長官を目指すのであれば、国家公務員総合職試験に合格して、総務省や厚生労働省、国土交通省、警察庁のどれかに入省し、各省事務次官や、警察庁長官、警視総監に就任することで、宮内庁次長になれる確率が高くなります。宮内庁次長になれば、ほとんどの場合で宮内庁長官に就任できます。

出典

e-Gov法令検索 宮内庁法
[朝日新聞取材班 「秘録 退位改元——官邸VS\.宮内庁の攻防1000日」(朝日新聞出版、2019)
e-Gov法令検索 特別職の職員の給与に関する法律](https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000252)
内閣官房 国家公務員の給与(令和4年版)
人事院 国家公務員の諸手当の概要
内閣官房 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律(令和4年法律第18号)の概要

執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士