津波エリア、高齢者半数超の地区2割 弱る共助、避難に不安

 秋田県の津波浸水想定エリアと重なる12市町村の約590地区のうち、住民の半数以上が高齢者(65歳以上)の地区が約2割に上ることが、国勢調査を基にした秋田魁新報のシミュレーションで分かった。高齢化率50%以上の地区は近年増加。避難の際に住民同士で助け合う「共助」の弱まりが懸念され、専門家は「災害弱者の支援について改めて考える必要がある」と話す。

20年国勢調査基にシミュレーション

 マグニチュード7.7の地震に伴う津波などにより、県内外で104人が犠牲になった1983年の日本海中部地震から、26日で39年を迎えた。国勢調査によると、80年時点で約125万7千人だった県人口が2020年に約96万人に減る一方、高齢化率は10.5%から37.6%へ上昇。核家族化などにより単身世帯も増えた。

 高齢化と津波リスクを抱える地区の住民からは「周りは高齢者ばかりで、いざというときに助け合って避難できるのか」という不安の声が上がる。

 秋田魁新報によるシミュレーションで、津波浸水想定エリア内で高齢化率50%以上に該当したのは、2000年時点では10地区にとどまったが、05年15地区、10年27地区と緩やかに増加。15年は68地区、20年は132地区で、増加ペースが加速している。

シミュレーションの方法 県の津波浸水想定データのほか、2000~20年の国勢調査小地域別の人口・境界データを使用。境界データは20年分がまだ公開されていないため15年のデータを用い、20年の人口データと結び付けた。その上で地理情報システム(GIS)を使い、津波浸水想定エリアと重なる約590地区の中から高齢化率が50%以上の所を抽出した。高齢化率は地区ごとの総人口(年齢不詳除く)に占める65歳以上の割合。

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