王者ノルベルト・キス、予選完全制覇から快勝発進。アルバセテ、レンツも開幕勝利/ETRC開幕戦

 5月21~22日にイタリア・ミサノのワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開幕した2022年のETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップは、王者ノルベルト・キス(レベス・レーシング/マン)が予選完全制覇から土日のオープニングヒートで連勝発進。タイトル防衛に向け幸先の良いシーズンスタートを切るとともに、リバース採用のレース2とレース4では、それぞれアントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/マン)、サッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/マン)が勝利を飾っている。

 今季も欧州大陸を代表するトラッカーたちが集ったイタリア・ミサノでは、予選から実力者たちの緊迫した勝負が繰り広げられ、土曜オープニングのレース1に向けたポールポジション争いは、新たなディフェンディングチャンピオンと、前人未到のシリーズ6冠を誇るヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)の一騎打ちが展開される。

 スーパーポール・セッションを経て最後のアタックへと向かった2台だが、早朝から日差しが照りつけたミサノでは灼熱の気温が路面温度上昇を招き、ともにタイムアップはならず。暫定タイムながら、わずか0.051秒差で王者キスが“帝王”を降す予選結果となった。

 続くレース1でも、フロントロウ2台はまるで“別クラス”とでも言わんばかりの異次元の攻防を展開し、後続に対し勝者キスと2位ハーンのふたりは5秒も前でフィニッシュラインへ。

 その背後では、6番手発進からアルバセテと2017年王者アダム・ラッコ(バギラZMレーシング/フレイトライナー)を仕留めたレンツが3位に続き、まずは今季最初のポディウムを確保した。

 続いてリバースグリッド採用のレース2は、最前列から発進のレネ・ラインアート(レイナート・レーシング/イベコ)に対し後続が猛チャージする展開となり、オープニングラップではラインアートと師弟関係でもあるシュテフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック/イベコ)と、3番手スタートのテオ・カルヴェ(バギラZMレーシング/フレイトライナー)がドッグファイトを繰り広げる。

王者ノルベルト・キス(レベス・レーシング/マン)が初日予選からポールポジションを獲得する
前人未到のシリーズ6冠を誇るヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)が新王者に喰い下がる
タイトル防衛に向け幸先の良いシーズンスタートを切った勝者ノルベルト・キス(レベス・レーシング/マン)
レース2では『イベコS-WAYレーシングトラック』をドライブするレネ・ラインアート(レイナート・レーシング/イベコ)が奮闘

■最終ヒートの勝者レンツは週末すべての表彰台を獲得

 しかしターン4のインサイドに飛び込んだカルヴェがハルムにヒットし、彼女のトラックはダメージを受け7番手へと後退。これに対し、レーススチュワードはカルヴェに5秒加算のペナルティを宣告する。

 これで首位ラインアート追走部隊を形成したのがアルバセテとレンツで、レース中盤にはふたりともにラインアートを捉え、一気に後続を引き離しにかかる。

 一方のリバースポールシッターも最後の表彰台スポットを死守しようとディフェンシブな走りに徹するも、背後にはキスとハーンの“別クラス”ふたりが迫り、10周目にはターン1イン側のボラードを薙ぎ倒しながら、キスがサイド・バイ・サイドを制して前へ。このバトルの余波でラインアートはハーンにも先行を許し、失意の5位フィニッシュとなった。

 明けた日曜午前の予選でも王者キスが盤石のアタックを決め、わずか1回のフライングラップで2分02秒034を記録。ハーンとレンツを従え2日連続のポールを確保してみせる。

 そのままレース3でもターン1からターン2への左右切り返しでハーンを抑え込んだキスは、前日の「再現ビデオのような」ドライブで連勝。こちらも前日と同じメンバーが並ぶ表彰台となった。

 そして週末最終ヒートのフロントロウはカルヴェ、ハルムの因縁対決となるも、ターン3までにその2台を出し抜いたのが3番手発進だったレンツで、レース3の終わりにクラッチの問題を抱えていた男は、後続のバトルにも助けられ8秒のマージンを築いてトップチェッカー。終盤、フロントロウのふたりをパスしたアルバセテとハーンがポディウムに上がり、勝者レンツは今季3人目のウイナーになると同時に、週末すべてのヒートで表彰台を獲得する安定した戦いを披露した。

 続く2022年のETRC第2戦は、6月11~12日にトレーラーにとって最もツイスティな東欧のサーキット、ハンガロリンクで争われる。

アントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/マン)がレース2を制し、今季初勝利を手にした
日曜も予選最前列を射止めたキスは、レース3で前日の「再現ビデオのような」ドライブで連勝
レース4ではサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/マン)がオープニングの攻防を制して首位へ
レース4勝者レンツは今季3人目のウイナーになると同時に、週末すべてのヒートで表彰台を獲得する安定した戦いを披露した

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