花と緑 木造駅舎に彩り JR千綿駅に生花店「ミドリブ」オープン

ミドリブの(右から)飯塚さん、堤さん、下野さん=東彼杵町平似田郷、千綿駅

 長崎県東彼東彼杵町平似田郷のJR千綿駅に今月、生花店「ミドリブ」がオープン。切符売り場のカウンター越しに花や緑が並び、木造駅舎に彩りを添えている。代表の飯塚陽子さん(46)=同町=は「地元の人も観光客も、安らげる場所になれば」と話した。
 同駅は1928年開業。71年に無人駅となり、駅舎と敷地が町有化された。93年の改修でレトロな雰囲気が復活。2014年、JR各社「青春18きっぷ」のポスターに大村湾を望むホームの夕景が採用されるなど、鉄道ファンに人気。昭和レトロを求める観光客が写真を撮る姿も見られる。
 ミドリブのスタッフは飯塚さんのほか、下野惠美子さん(34)=川棚町=、農家の堤彩子さん(40)=東彼杵町=。子育て中の3人は、それぞれの経験を生かし17年、千綿地区交流拠点「ソリッソリッソ」で花や野菜の無人販売を開始。無店舗型の生花店として、注文に応じアレンジメントを届けたり、イベントでの出張販売をしたりしていた。
 10年前、家族で移住した飯塚さんにとって、千綿駅は「初めて東彼杵を訪れたとき、印象に残った場所の一つ」。店を構える予定はなかったというが昨年秋、町が22年度からの駅使用者を公募していると知り「この場所が使えるのならば」と手を挙げた。
 駅事務室にはバラやダリアなどの生花やドライフラワーが並ぶ。3人は町から駅構内の衛生管理を、JR九州からは乗車券の販売を委託されている。乗車券販売の委託駅は県内では同駅と小串郷駅=川棚町=の2カ所。券売機はなく、手売りされる紙の切符を記念に購入する観光客も。曽祖父が国鉄職員だった下野さんは「地元の人が家に花を飾り、鉄道に乗るきっかけにこの店がなれば」と話す。
 飯塚さんは「無店舗から顔が見える店になった。試行錯誤しながらだけど、花を買うお客にも駅の利用者にも、感じのいい場所にしたい」とほほ笑んだ。
 花の販売は事前オーダー制。営業時間は午前10時半~午後2時。火、水曜定休。問い合わせなどは同駅(電0957.46.0961)、インスタグラムアカウントはミドリブ(midori_bu)


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