快挙!埼玉・川越の酒屋マツザキ、製造のジン「棘玉(とげだま)」海外で金賞3つ獲得 世界レベル証明

三つの海外コンテストで金賞を受賞したクラフトジン「棘玉」

 酒類販売などを手がける埼玉県川越市の「マツザキ」は今年春、自社製造したクラフトジン「棘玉(とげだま)」を海外の酒類コンテスト3大会に出品。いずれも金賞に輝く快挙を成し遂げた。同社の松崎裕大専務(34)は「世界に通用すると評価され、うれしい」と喜びをかみしめる。

 棘玉は3月、世界三大酒類コンテストの一つ「国際ワイン・スピリッツ競技会」(英国)で金賞を獲得。4月には「サンフランシスコ世界スピリッツ競技会」(米国)、「フェミナリーズ世界ワインコンクール」(フランス)で相次いで金賞を手にした。

 マツザキは1887(明治20)年、酒類米穀販売店として創業した。裕大専務の父で4代目の敦雄社長(61)が、事業を酒類販売の専門店に特化。だが、「蔵元さんとお付き合いする中で、酒造りの面白さを身に染みて感じていた。30年、50年先も専門店として生き残れるかを考えると、何か強みが必要だ。私も息子もジンが好きだったので、挑戦することにした」(敦雄社長)と、2019年12月にクラフトジンを製造する「武蔵野蒸留所」を同市中福の中福本店敷地に立ち上げた。

 目指したのは、針葉樹「セイヨウネズ」の実「ジュニパーベリー」を香り付けの軸に据えた正統派のジンだ。これに越生町産のユズ、市内で取れた茶をはじめとしたボタニカル(植物の実や皮、葉など)を入れ、香りを整えていく。原酒のスピリッツのアルコール度を下げていく過程では、敷地内に掘った深さ40~50メートルの井戸からくみ上げた秩父古生層の地下水を使う。

 同社は10年ほど前から、手入れされず荒れていた中福本店の敷地林(約1ヘクタール)の整備を開始。下草刈りや間伐、不法投棄されたごみの処分を行い、地域に開放している。並行して、セイヨウネズをはじめとしたジンに使われる樹木を植樹。敦雄社長は「香り付けの原料は将来、全てを自社林で育てたい」と話す。

 国際的評価を足掛かりに生産量を増やしていき、海外進出も本格化させる方針。裕大専務は「製造を始めて以降、理想の味に近付けようと試行錯誤を重ねてきた。今の方が良い味になったし、1年後はさらにおいしくなる」と、あくなき探求心を示した。

 価格は700ミリリットルボトルが税込み4785円、200ミリリットル入りが同1969円。問い合わせは、川越市新宿町のマツザキ新宿店(電話049.220.1622)へ。

父の松崎敦雄社長と二人三脚でクラフトジンのレシピづくりに取り組んできた長男で5代目の裕大専務=18日、川越市中福の武蔵野蒸留所

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