<北朝鮮内部>金正恩氏こだわりの観光特区建設で外壁崩落やひび割れ続出 セメント乾燥を手抜きか

降雪の中で三池淵の工事現場を視察した金正恩氏。2018年11月労働新聞より引用。

金正恩氏が直々に建設を命じた北部の両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)の観光特区で、昨年建設した新しい建物の外壁が崩れるなど問題が多発していると、両江道に住む取材協力者が4月中旬に伝えてきた。

三池淵は観光名所の白頭山(ヘクトゥサン)の麓に位置し、中国とも近い。開発に熱を上げる金正恩氏は、現地視察を繰り返して工事を急がせ、2019年12月にいったん竣工。中国からの観光客を当て込み外貨収入を得ようという目論見であった。

ところが、新型コロナウイルスのパンデミックによって、中国からの観光客の受け入れは完全にストップしてしまった。それでも金正恩氏の直接指示による最優先建設プロジェクトであったため、追加工事が続いていた。

2021年11月に三池淵を訪れた金正恩氏。労働新聞より引用。

◆セメント乾かぬまま凍結

「この冬は寒波が厳しく、セメントの乾燥が不十分なままにして水分が凍結してしまい、春になった今、それが溶け出してひび割れしたり、外壁が剥がれ落ちたりする建物が続出している。屋内でも洗面所のタイルが浮いてしまっているそうだ。行政機関では、無条件に計画通りに補修せよと命令を出して、都市建設を担う人員を補修工事に投入し、将来、観光客が来ても壊れた痕跡が見えないようにしろと指示を出したそうだ」

協力者はこのように言う。

しかし不良施工が多過ぎて人手が足らず、あちこちの職場から人員を選抜して対処することになったという。(カン・ジウォン)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図(アジアプレス製作)

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