<維新とカネ> 浅田均参院議員が「文通費」600万円を政治団体に繰入れ・貯めこみ 専門家は「公金私物化で違法、『身を肥やす改革』だ」と指摘

専門家から「公金私物化だ」と批判を受けている浅田均参院議員。写真は個人演説会のポスター。

橋下徹元大阪市長、松井一郎大阪市長らと「大阪維新の会」を創設したメンバーの一人である浅田均参議院議員。彼が代表を務める政治団体「浅田会」が文書通信交通滞在費(以下、文通費、現・調査研究広報滞在費。月100万円)を政治団体に繰り入れし、その費用を全額使い切らず翌年に繰越していることが、政治資金収支報告書などを調査した結果、判明した。(フリージャーナリスト 鈴木祐太

◆余った「文通費」の貯めこみ認める

浅田均参議院議員が代表を務める政治団体「浅田会」は、2020年の文通費から600万2929円を「浅田会」に繰入した。20年の「浅田会」の支出は230万1576円である。そのため、文通費から全額支出をしていたとしても、約370万円が使われず翌年に繰り越されていることになる。

文通費は、税金が原資で「文書通信交通滞在費」という名前の通り、法律で「公の性質を有する」支出に限定されている。そもそも、政治団体に繰入すること自体が法律違反である。ゆえに政治団体に繰入した上、「文書通信交通滞在費」に使わずため込むということは、法律の趣旨に反する。

「浅田会」は20年だけでなく、19年も同様に約177万円を使わず翌年に繰り越している。

18年に関しては、「浅田会」の支出総額808万9975円のうち534万8835円がパーティ開催費用だった。。「パーティ開催補用はパーティ収入から支払っている」と浅田事務所が筆者の質問に対して答えているため、パーティ開催費以外の支出総額約274万円の全てを文通費で支払ったとしても、約467万円の文通費が繰り越されていることになる。

「浅田会」の繰越額は、17年は約657万円だったのが20年には約2899万円になっている。

文通費を繰り越していることについて浅田均事務所に問い合わせすると、「全ての文通費を寄付後経費を差し引いて残額は翌年に繰越です(原文まま)と文通費を「浅田会」に貯めこんでいることを認めた上で「現行法に則って適切に処理しています」と回答した。

◆まっとうな仕事していないから文通費が余る?

政治資金問題に詳しい上脇博之神戸学院大学教授は次のように指摘した。
「そもそも文通費を資金管理団体に繰入すること自体が公金の私物化であり違法ですが、それをさらに翌年に繰越してしまうと、更なる私物化をしていることになります。日本維新の会は浅田議員の“二重の私物化”を許容しているのですから、“身を切る政党”ではなく“身を肥やす政党”ということになります」

このように指摘した上で、浅田議員を厳しく批判する。

「通常、議員が国会できちんとした質問など地道な仕事をしようとすると経費が掛かりますが、浅田議員は国会でまっとうな仕事もしていないから年間1200万円の文通費の半分が余るので“二重の私物化”を平気でやり続けるのではないかと思えてなりません」

浅田参院議員は99年に自民党所属の大阪府議会議員になり、09年に地域政党「大阪維新の会」(代表:橋下徹氏、幹事長:松井一郎氏、政調会長・浅田均氏)を設立した創設メンバーである。その後、16年に参院議員となり、要職を歴任している。

維新の会の旗印である「身を切る改革」の先頭を走ってきた政治家だが、文通費を法律の趣旨に反して自らの政治団体に貯めこんでいるならば、「身を切る改革」は中身のない言葉だけの有権者へのパフォーマンスと言われても仕方がない。

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

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