家計簿をつけても支出が削減できないアラフォー夫婦。無駄を見極める「家計の三分法」って?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。 今回の相談者は、夫38歳・妻39歳の夫婦。妻が出産を機に専業主婦となってから、収入は減ったけれど支出は減らないのが悩み。家計簿は細かくつけているものの、支出削減に繋がらないと言います。おすすめの方法は? 家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。


まもなく40歳になる夫婦です。そろそろ、老後の貯蓄や子どもの進学費用などを本気で準備して行きたいと考えています。ですが、現状では毎月の収入から貯めることが難しく、これからの生活に非常に不安を感じています。

子どもが生まれるまでは、妻はパートで働いていましたが、出産を機に専業主婦になりました。そのため、出産後は世帯収入が減ってしまいました。それなのに、お金の使い方を変えられず、徐々に支出が増えている状況です。

家計の見直しを早急に行わなくてはいけないと思っているのですが、どこから手を付けてよいのか、全くわからず、困っています。家計簿は割と細かくつけていますが、どう生かしてよいかわかりません。見直し方のコツなど、教えていただけないでしょうか。

【相談者プロフィール】

・男性、38歳、(会社員) ・妻、39歳、専業主婦 ・娘、1歳

・手取り収入:月収29万3,000円、年間ボーナス約120万円

・貯金額約200万円

・毎月の支出の内訳:45万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:16万円(ローン、管理費、駐輪場)

・食費:10万7,000円(外食含む)

・水道光熱費:1万4,000円

・通信費:1万9,000円(スマホ2台、ネット)

・生命保険料:2万4,000円

・日用品代:1万5,000円

・医療費:2万円(サプリ・整形)

・教育費:2万5,000円(子ども費)

・交通費:7,000円

・自動車関連費:8,000円

・被服費:5,000円

・交際費:0円

・娯楽費:2万5,000円

・こづかい:0円

・その他:2万1,000円(理美容・サブスク・その他)FP:毎月の赤字額がとても大きいですね。約16万円の赤字で、ボーナスだけでは補填しきれないようです。今のままの生活を続けていると、貯金が目減りし、なくなってしまいます。

家計簿は細かくつけ過ぎず、家計の全体が分かるように

家計簿をつけているようですが、1円単位まできっちりつけ、合計額などが合わないとスッキリしない、という感じでしょうか。1円単位までこだわっていると、記録をする、集計をぴったりと合わせることで満足してしまい、支出を把握する、振り返るという本来の目的にならないことも多々あるのです。目的と手段の履き違えにならないようにしたいところです。

細かく数字を書くことが悪いわけではありませんが、それで支出の振り返りができないのなら意味がありません。家計簿との付き合い方を今一度、考えてみましょう。

家計簿は、何にいくらくらい使って生活をして、自分たちはどういうことにお金を使う傾向があるのかということを知る。そのうえでムダな支出はどれか、削減できることはないか、または継続すべき支出はどれかなどを考えていくことに役立てます。

家計簿をきっちりつけすぎて、利用の仕方が分からなくなってしまうのなら、私が提唱する「家計の三分法」という判断軸を利用するのも手です。支出を3つの意味で分けていくため、必要な支出、ムダ支出などの判断が付きやすくなります。

支出を見極める「家計の三分法」って?

家計の三分法は、支出を「消費」「浪費」「投資」の3つに分けるだけの、簡単な家計管理法です。

消費:生活に必要な支出。例えば適正な食費、日用品代、家賃、通信費など
浪費:いわゆるムダづかい。過剰な食費やし好品代、ギャンブルなど
投資:将来につながる支出です。自己投資、預貯金、金融投資など

費目ではなく、支出の意味や価値で振り分けるだけなので、今まで家計簿をつけたことがないという人も簡単にできるやり方です。

記録が面倒であれば、3つの箱を用意して、支出の意味に合わせてレシートを入れておけば、簡単に集計できます。

これには理想的な割合があり、年収800万円ほどまでの場合は、消費が70%、浪費は5%、投資は25%です。この投資のうち、約15%は貯金や金融投資など、資産形成に充てるのが理想です。年収が800万円を超えると、理想の割合は変化します。消費の割合が減り、投資の割合が増えます。

資産形成は、家計が黒字になってから

老後資金や教育資金を貯めていくのであれば、投資をしたほうがよいという話を聞いたことがあるかもしれません。確かにそうなのですが、赤字の状況で始めてしまうと本末転倒。まずは家計を黒字にすることを目標に、支出を見直しましょう。

食費、日用品代、通信費、娯楽費など、見直し効果が出そうな費目がいくつかあります。ですが、支出削減にも限界があります。削減を試みても家計の黒字化が難しいようであれば、妻がまた働きに出るという選択肢も考えられます。

投資を始めるには、「生活防衛資金」ができていなくてはなりません。少なくとも、生活費の7.5カ月以上の貯金があることが望ましい状況です。それができていないうちは、基本的には投資をするのではなく、家計を黒字にするように努め、そこで出た余剰金を貯金していきましょう。まずは貯金ということです。

ですが、効率よくお金を貯めるのなら、投資をすることも選択肢として考えておきたいもの。資産形成には、投資信託を時間をかけて積み上げていくやり方がおすすめです。相談者様には少し先の話になるでしょうが、貯金に重きを置きつつ、一部を投資に回していくとよいでしょう。いずれは、老後資金、教育資金を作ることも可能になりますから、今はぜひ、家計の黒字化を目指して頑張ってください。

© 株式会社マネーフォワード