高齢ドライバーとその家族必見! 免許更新ココが変わった 道交法改正で

今月18日、80代の運転する車が歩道に乗り上げ、歩行者をはねる事故がありました。運転をしていた男性は、「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と話しています。

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そんな中、運転免許証を自主返納した西川きよしさんに身分証明書となる運転経歴証明書が手渡されました。

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西川きよしさん
「75歳になりまして、視力・聴力の衰えを感じることがある」

一方で、ハンドルを離せない高齢者も少なくありません。

高齢ドライバーたち
「車は必需品ですよね」
「好きだから、車が。返納は考えていない」

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高齢ドライバーによる事故防止などを目的に大きな変化がありました。道路交通法の改正です。きょうのテーマは、『高齢ドライバー必見! 免許更新 ココが変わった!』。ご家族の方もぜひ、ご確認ください。

5月13日、道路交通法が改正されました。大きく変わったのは、75歳以上の方の免許更新です。

改正前の75歳以上の免許証更新手順です。

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まず、認知機能検査を受けて、その結果に基づいて高齢者講習を受講をすれば、免許証を更新できるという仕組みでした。

今回の改正でどう変わったかというと、75歳以上のドライバーで過去3年間に「一定の違反歴」のある人は、「運転技能検査」に合格しなければ、免許証を更新できなくなりました。

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一定の違反とは、信号無視やスピード違反、事故によって生じた違反も含まれていて、全部で11種類の違反内容があるそうです。

新たに設定された、この運転技能検査がどういうものなのか、免許センターで取材しました。

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広島市佐伯区にある広島県運転免許センターです。県内では、普通自動車免許の保有者数は185万人。免許センターには平日でも700人ほどが運転免許の更新に訪れます。

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高齢者講習
「身体機能、いろんなところで若いときと違うと感じると思う」

RCC

この日、免許センターでは、13人のドライバーが、70歳以上を対象とした「高齢者講習」を受けていました。高齢者講習では、実際に車を運転して、アドバイスを受ける「実車指導」も行われます。

RCC

免許を更新(84)
「やはり動体視力が落ちているみたい。検査には合格したが、若いときのようにはいかない。好きだから、車が。返納は考えていない」

RCC

警察によりますと、去年1年間に全国で発生した死亡事故の人的要因を調べた統計では、75歳未満のドライバーに比べ、75歳以上では運転操作の誤りが事故につながった割合が高かったといいます。

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特に「アクセルとブレーキの踏み間違い」による事故の割合が、75歳未満が1.3%だったのに対し、75歳以上では10.7%と著しく高くなっていたことが分かります。

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広島県警 運転免許課 山口晶子 高齢運転者支援室長
「身体的に自分は運転技能が低下しているのではないかということを実感してもらいたい」

実は、この講習と同じコースの運転に点数を付けるのが、このたび新設された「運転技能検査」なのだそうです。

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県警などの協力で記者が体験しました。

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広島県警 運転免許課 安田光宏主任
「走ってもらうコースは(高齢者講習と)一緒で、(わたしたちが)見る内容も一緒だが、高齢者講習では採点がないので合格・不合格がない。そこが大きな違い」

検査項目は、5項目です。

安田光宏主任
「準備が良ければ発進しましょう。コースの方はわたしの方から早め早めの指示をします」

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(1)指示速度での走行
「その直線で時速50キロで走行してください」

(2)一時停止

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(3)右左折
「前方左側にカラーコーンの障害物があるんですが、それをよけて、まっすぐ行ってください」

(4)信号機のある交差点

(5)段差乗り上げ
「前輪があの段に接したところでいったん止まり、アクセル操作で段に乗り上げて、すぐに止まる」

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検査は、10分程度で終わりました。

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広島県警 運転免許課 安田光宏主任
「左折するときに車が左に寄っていない状態で左折することが多かった。大回りで左折していた。これは癖だと思うんですけど」

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記者は、左折時の曲がり方を指摘されてしまいました。実際には100点満点で評価され、70点以上が合格となります。

広島県警 運転免許課 山口晶子 高齢運転者支援室長
「高齢運転者が加害者となる事故が増えているのは間違いではないが、高齢運転者の人が安心して、自分が『これならだいじょうぶ』と思って運転してもらえる環境をつくるための高齢者講習運転技能検査。交通安全教育の1つとして実施するものなので、また気持ちを新たに運転してもらえれば」

RCC

おさらいすると、75歳以上で「一定の違反歴」がある方は運転を採点される「運転技能検査」に合格しないと免許証の更新できません。有効期限内であれば、何度でも受験できるそうです。

合格すると、認知機能の検査(見せられた絵の名前を後で答えるなどして、認知症のおそれがないか調べる)、高齢者講習(座学・視力検査)を受ける流れになります。

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違反のない人については、これまでどおり車を運転する講習で採点はされません。この仕組みが適用されるのは、ことし10月12日以降に75歳以上の誕生日を迎える方からが対象で、自分がどちらに該当するかは、郵便で来る通知書でわかるということです。

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また、今回の改正では、「サポカー限定免許」という、自動ブレーキなどを備えた「サポートカー」に限定して運転できる免許の制度も始まっているので、どうするのが自分の生活に合うか考えてみるよい機会かもしれません。

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