日本航空(JAL)に搭乗した宇都宮市陽北中の卓球部員が、乗務員らのおもてなしに感謝の手紙を残したことが縁で27日、今度は当該機の副操縦士らが学校を訪れ、手紙をくれた生徒たちに感謝を伝えた。柔らかな心遣い、感謝の循環となった。
手紙を書いたのはいずれも2年弓下莉瑚(ゆみしたりこ)さん(13)と尾上(おのえ)希実(のぞみ)さん(13)。2人は3月、松山市で開かれた全国中学選抜大会出場のため航空機に乗った。
新型コロナウイルス禍で大会出場機会が減り、今のメンバーで初の全国大会だった。遠征への不安、搭乗で気持ちは張りつめた。
この日は毎月25日の「ニッコーの日」。弓下さんらの便の乗客に「ご搭乗ありがとうございます」との手書きメッセージなどが手渡された。大きく手を振って離陸を見送るスタッフを、機内から目にしながら航空機は飛び立った。
ハプニングもあった。保安検査場。弓下さんが手に持っていた搭乗券で、ふいに指先を切った。小さなけがだったが、スタッフがすぐに、優しく声をかけながら手当てをしてくれた。
一つ一つの対応が緊張した2人の心を解きほぐし、いつもの笑顔が戻った。「心がふわふわ、浮き浮きしました」などとつづり、席に置いた。
手紙を見つけた乗務員が社内に共有し、感謝を返そうと当日関わった乗務員らで約4分間の動画を作成。羽田、松山両空港の約20人が感謝を寄せるなどした。
27日は、吉田訓之(よしだのりゆき)副操縦士(39)らが2人と一緒に動画を視聴。乗客から手紙を受け取る機会はあまりなく「感謝の思いが回っていることがうれしい」と語った。
弓下さんは「お礼をお返ししてくれたことで、夏の全国大会に向けてもっと頑張りたい」、尾上さんは「初めての飛行機に安心して乗れて試合も頑張れたことを思い出した。またうれしくなった」とほほえんだ。