フランス首都を拠点にするPSGは、1970年創設と歴史は浅いものの近年豊富な資金力を背景にサッカー界の勢力図を塗り替えようとしている。
そこで今回は、そんなPSG歴代最強の外国人アタッカーたちを取り上げてみよう。
ロナウジーニョ
ロナウジーニョがPSGに加入したのは2001年夏、21歳の時。厳密には“超大物”になる前の段階だったがその才能は明らかだった。
ルイス・フェルナンデス監督(当時)との確執、派手な夜遊びなどスキャンダラスな報道も絶えなかったが、試合に出ればまさに別格のプレーでファンを酔わせた。
「3R」の活躍で頂点に立った日韓ワールドカップは、そのパリでのシーズン終了後のこと。パリとセレソンでの実績をひっさげ加入したバルセロナで、名実ともに世界最高のサッカー選手となっている。
当時PSGに在籍した現アーセナルの指揮官ミケル・アルテタは「ロナウジーニョ加入前のPSGとバルセロナは歴史上最も酷い状態にあった。彼がそれを変えた」と称賛している。
ズラタン・イブラヒモヴィッチ
先日40歳にしてACミランでスクデットを獲得したズラタン・イブラヒモヴィッチ。
新たな歴史を切り開き続ける先駆者は、カタール資本の買収によって大きな変革を遂げたPSGに「最初の超大物」としてやってきた。2011年ことだ。
当時31歳だったが初年度に30ゴールを叩き込むと、在籍4シーズンで180試合156ゴール53アシストという異次元の記録を残している。
2016年に退団することとなったが、「もしエッフェル塔に代わってオレの銅像を建てるなら、残ってもいい。約束だ」と最後まで“イブラ節”全開であった。
エディンソン・カバーニ
カバーニが素晴らしいストライカーであることを全てのサッカーファンは知っている。しかしもっと評価されていいだろう。
ウルグアイ代表ではルイス・スアレスが常に脚光を浴び、マンチェスター・ユナイテッドではクリスティアーノ・ロナウドの陰に隠れ、PSG時代にはイブラヒモヴィッチの存在によりウィングでプレーする機会も多かった。
それでも彼は不平不満を言わず、黙々と仕事を続けた。PSGに所属した7シーズンで6度の優勝に貢献し、2度の得点王に。2016-17シーズンには公式戦50試合49ゴールを記録した。
PSG通算301試合200ゴールはイブラヒモヴィッチを上回り、クラブ歴代1位の記録となっている。
ネイマール
ネイマールの加入は、PSGがビッグクラブからさらにメガクラブへと変わるための第一歩であっただろうか。
サッカー王国ブラジルが生んだ稀代の至宝は、バルセロナで唯一無二のスターとはなれず。そんな折にPSGから巨額のオファーが舞い込み、これを承諾した。
この時PSGがバルセロナに支払った移籍金は2億2200万ユーロ(およそ278億円)。これは5年が経過した2022年の現在においても世界最高額の移籍金として記録されている。
ただ度重なるケガにより出場は毎シーズン20試合前後。違いは作っているものの、“怪物”キリアン・エムバペに比べてやや存在感が薄れてきている。
リオネル・メッシ
メッシがPSGで一番のビッグネームであることは間違いないだろう。
少年時代からバルセロナの下部組織に在籍し、サッカー史上最高の選手にまで上り詰めた彼は、バルセロナを超えてカタルーニャのシンボルであり、そして「バルセロナのメッシ」はサッカー界のアイコンでもあった。
そんなメッシの移籍は誰もが想像しなかった。しかしどんなに栄華を築いた王朝もいずれ滅びるように物事には終わりがあることを改めて思い知らされた。
2021年夏、メッシは20年に及んだ愛するクラブとの関係に終止符を打ち、新しい挑戦へと足を踏み出したのである。
「メッシはバルセロナ以外で活躍できるのか?」という疑問は、何年にも及んで論争されてきた。
生涯のライバルといえるクリスティアーノ・ロナウドは、ユナイテッド、レアル・マドリー、ユヴェントスと渡り歩き、その全ての場所で結果を残してきた。まるで自分とメッシは違うことを誇示するように。
それに対するメッシの回答が今シーズンだったわけだが、結果からいうとPSGはリーグアンこそ制覇したものの悲願のCLは敗退。
メッシ個人が残した公式戦34試合11ゴール14アシストという成績は決して悪いものではないが、期待の大きさゆえに失望や批判も大きかった。
34歳という年齢で飛び込んだ新天地は、周囲が想像する以上に困難を伴っていたのかもしれない。
選手も関係者もわれわれサッカーファンも、うつむくことが多くなった現在のメッシの姿に戸惑っている部分はある。ただそんな時だからこそこうは考えられないだろうか。
史上最高の男がその立場を投げ打って新しい環境に身を投じ、もがきながらも這い上がろうとしている瞬間を共有できることは幸せである、と。
今季は若いエムバペの成長を促すためにメッシがアシスト役に徹していた面もある。来季はそんな遠慮を全て取っ払い、大暴れするメッシに期待しよう。
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