相場サイクルから株価の流れをつかむ方法、いまの相場サイクルを金融アナリストが解説

株式投資をされている方は「株価の大きな流れをつかむ方法がわかったら…」と考えたことはありませんか?

実は株式相場には4つの相場サイクルがあること、ご存じでしょうか。相場サイクルを理解すると、相場の局面の流れを知ることができるのです。

今回は4つの相場サイクルの特徴について解説していきます。


相場のサイクルとは?

株式相場には「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」という、主に4つの大きな相場局面のサイクルがあります。金融相場と業績相場は株価が上昇しやすい、逆金融相場と逆業績相場は株価が下落しやすいということを覚えておきましょう。

私は戸松信博先生にこの相場サイクルについて教えていただき、「もっと早く知りたかった!」と思いましたし、今もこの考えに基づいて中長期的な投資もしています。皆さんにも、この考え方をお伝えしますね。

まず株価上昇局面といえる金融相場、業績相場についてです。金融相場は不景気の時に「どげんかせんといかん!」と、政府や中央銀行が金融緩和や公共投資などの対策を行い、結果株価は上昇しやすくなります。

業績相場は政府や中央銀行の金融政策の効果が出てきて、企業業績が良くなってくることから株価がさらに上がる傾向となります。企業業績が主導する相場です。好景気となってきて、インフレが意識されるのもこの業績相場です。

そして株価下落局面といえる逆金融相場、逆業績相場についてです。

逆金融相場では、業績相場が続くとインフレやバブルの懸念などから政府や中央銀行が利上げなど金融引き締め政策をします。景気や企業業績の先行きが悪化することで株価が下落することが想定される局面です。まだ好景気感はあるので、個人消費は良好な状況が続きやすいですが、一方で半歩先読みの株式市場では株価は下がっていきます。

逆業績相場では政府や中央銀行の金融引き締め政策で企業業績が悪化し、景気も後退します。企業業績が悪く、景気も悪いため、投資家心理も冷え込んで株価も下がります。

長期的に見ると、優良な企業の株式が売り込まれているため、良い買いの仕込み場であるともいえるでしょう。ここで株式やほかの資産を買っていくことが資産形成に寄与すると考えます。

ざっくりと表にまとめると、下記のような形になります。

日米のいまの市場サイクルは?

このような流れが相場ではあるのです。ただし、このサイクルは期間が決まっているわけではなく、「ここから業績相場!」というように、はっきりと分かれてはいませんが、現在がどの地点だと考えられるか、投資家として押さえておくだけでも、投資のパフォーマンスは変わってくるのではないでしょうか。

私はいまの日本市場は、業績相場であると考えています。また、米市場は今後の経済指標や利上げペースによって、業績相場なのか逆金融相場なのか判明してくるのではと考えます。

業績相場で買われやすい銘柄は好業績銘柄ですので、気になる銘柄の業績はしっかりチェックしてくださいね。また割安株も買われやすい局面だといえます。

逆金融相場は全体として株価が下落することが想定されますが、相対的に買われやすい銘柄としては、不景気でも底堅い需要が考えられる生活必需品や医薬品、建設セクターや財務がしっかりしている企業が考えられます。

画像:筆者作成

5月23日週「相場の値動き」おさらい

過去40年間で最も高いインフレによる、コストの上昇やサプライチェーン問題などから、ウォルマートやターゲット・コーポレーションなど米小売り大手の決算が軟調なことが、先週は相場の重しとなっていました。しかし、今週発表されたメーシーズやディスカウントストアのダラー・ツリー、ダラー・ゼネラルなど小売企業の決算が市場予想を上回るものだったことで、企業業績に対する懸念は後退しつつあるようです。5月のFOMC議事録の公表はノーサプライズとなりました。

日本市場では、黒田日銀総裁が5月26日(木)の衆院予算委員会で、大規模な金融緩和を終わらせる出口戦略について、金融市場の安定を確保しながら出口戦略を遂行するのは十分可能だと自信をのぞかせました。黒田総裁が出口戦略に言及したこと、日銀が金融政策を見直す可能性があることから円が買われる展開に。黒田総裁の任期満了を迎えるのは来年4月となっていますが、今後の動向や発言に注目です。

5月27日(金)の東京株式市場、日経平均株価は前日比176円84銭高の2万6781円68銭と4営業日ぶりに反発。5月20日(金)の日経平均株価の終値は2万6739円03銭でしたので、週間では42円65銭の上昇でした。

3月決算企業の決算発表も、概ね出そろいました。経済指標や金融政策も注視しながら、決算発表を受けてどう株価変動したのかも参考に、相場がどのサイクルにあるか、ぜひご自身でも考えてみてください。

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