五島・魚津ケ崎海岸で観察会 市民ら、砂州「トンボロ」歩き自然学ぶ

出現したトンボロを歩く参加者=五島市、魚津ケ崎海岸

 貴重な地形などが残る「日本ジオパーク」に認定されている長崎県五島市。同市岐宿町の魚津ケ崎(ぎょうがさき)海岸で、大潮の干潮時しか出現しない砂州「トンボロ」を歩いて沖合の立小島に渡り、約2千万年前ごろの地層などを観察する会があった。市民ら約30人は自然の営みの不思議さや大地の成り立ちの痕跡を学んだ。
 トンボロは、砂や小石が長年かけて島と陸地の間に滞積して形作られ、同海岸では大潮の干潮時に陸続きとなる。3~6月は、規模が大きいトンボロが日中にできるため、年に数回の歩いて渡れる機会となる。
 観察会は市が17日に開催。この日のトンボロは長さ約130メートル、幅約50メートル。参加者は海藻で滑りそうな足元に注意し、でこぼこした小さな石を踏み締めながら立小島までゆっくりと歩いた。

垂直に立った地層が見られる「ジンジバンバ岩」

 立小島は五つの小島の総称で全長約500メートル。島では、大陸から流れ出た砂と泥が堆積した「五島層群」が地殻変動で隆起し、ほぼ垂直に立った様子を観察した。島の先端付近では、高齢男性が高齢女性を背負うような形が「ジンジバンバ岩」(高さ約20メートル)と呼ばれる岩も確認。火砕流で流されて地層に残ったとみられる木炭もあり、写真を撮りながら、担当者の説明を興味深く聞き入った。
 初めて立小島に渡った同町の樽角都さん(68)は「対岸からよく眺めていたが、2千万年前も昔にできた地層を近くで見て驚いた。ジオパークを実感できる」と話した。


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