「五感の全てで野菜を味わう」複合施設がオープン キユーピーが埼玉県深谷市に【にっぽん食べ歩き】

「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」のレストランで提供される料理の一部

 野菜について学び、収穫を体験し、味わう。五感の全てで野菜の魅力を満喫できる複合施設「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」がこのほど、埼玉県深谷市にオープンした。(共同通信=中村彰)
 キユーピーの新規事業社内公募制度で初めて採択されたプロジェクト。農業大学で食品科学を学び、グループ会社で総菜作りを担当していた松村佳代さんが発案した。
 「楽しくおいしく野菜を食べてもらうにはどうすればいいか考えた」と松村さん。ガイド付きの収穫体験や、ブーケのような野菜販売など、数々の「野菜愛」のアイデアが実現した。

「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」の発案者の松村佳代さん(提供写真)

 同ファームの面積は1万7000平方メートル余り。うち約6000平方メートルが「体験農園」になっている。
 栽培する野菜は年間100種類。ガイドスタッフの解説を聞きながら、さまざまな生育状況の野菜を観察する。実際に2~3種類の野菜の収穫体験ができ、取った野菜は持ち帰ることができる。
 無農薬ではないが、ある野菜には使える農薬が別の野菜には使えないことなどから、農薬の使用量は限りなく少ないという。
 空からはヒバリの鳴き声。農園の畑に巣を作っていると、ガイドの男性が教えてくれた。

「体験農園」=埼玉県深谷市

 「野菜教室」では併設レストランのシェフや野菜ソムリエの講師がさまざまな方法で野菜の魅力を伝授する。色とりどりの野菜で絵を描くワークショップなどを予定している。教室とキッチンははガラス窓で通じていて、食材や料理を受け渡すことが可能だ。
 「レストラン」は旬の取れたての野菜を味わってもらうため、年間を通じての定番商品を載せたグランドメニューをあえて作らない。
 「伊達鶏のファームカレー」(1850円)は野菜と果物のうまみと独自の配合のスパイスが深みある味を奏でる。「エッグ・ベーコンサンド」(1750円)は、蜂蜜でほんのりと甘いスクランブルエッグと香ばしいベーコン、フレッシュトマトがたっぷり。マスタードがアクセントになっている。
 「シェフズサラダ」(2050円)は野菜のボリュームたっぷりの一品。シンプルな構成だが、野菜ごとの味わいや食感の違いが楽しめる。ドレッシングはフレンチとかんきつ風味の2種類。それぞれが引き出すおいしさの違いに驚くだろう。
 「素材の全てを生かして使い切るのが大切」と音羽和紀シェフ。「野菜のおいしさを最大限表現したい」と力を込めた。

旬の野菜や果物を販売する「マルシェ」=埼玉県深谷市

 「マルシェ」では季節の野菜や果物を常時50種類以上提供する。カラフルなピーマンやジャガイモ、ハーブなどに力を入れる。花束のように旬の野菜を束ねた「Today’s Salad Mix」などがお薦めだ。
 「マルシェ」や「レストラン」で扱う野菜の7割は深谷市内産。残り3割も近隣から調達するという。

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