社説:米小学校銃乱射 まだ悲劇繰り返すのか

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 幼い子どもたちがまたも凶弾の犠牲になった。銃社会の「病」の根深さを痛感せざるを得ない。

 米南部テキサス州ユバルディの小学校で、侵入した男が銃を乱射し、児童19人と教師ら2人の計21人が死亡した。

 容疑者が近くの高校に通学歴のある18歳というのも大きな衝撃だ。

 事件1週間前に銃を購入し、当日は祖母を銃撃した後、小学校に車で乗り付け、制止を振り切って児童らを撃ったという。

 米国内では、14日にもニューヨーク州のスーパーで10人が死亡する事件が起きたばかりだ。無差別に命を奪う凶行は断じて許されない。捜査当局は、詳しい動機や銃入手などの経緯の解明が求められる。

 米国各地で相次ぐ銃撃事件では、教育施設もたびたび標的になっている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、学校での乱射は1970年から180件以上発生しているという。

 憂慮されるのが、新型コロナウイルス禍の影響だ。

 米ペンシルベニア州立大のチームは、流行が本格化した2020年3月からの約1年間に起きた乱射や発砲事件の銃暴力が、それ以前に比べ31%増えたとしている。

 コロナ流行後に銃器の購入が急増したとの報告もある。社会的、経済的なストレスの増加などが背景にあることがうかがえる。

 乱射事件が起きるたびに、銃規制の厳格化を求める声が高まるが、遅々として進んでいない。

 銃擁護の有力ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」や共和党は、銃所持の権利を認める合衆国憲法修正第2条を理由に反対し、対策強化は挫折を繰り返してきた。

 17年の推計では、米国の総人口を上回る約3億9300丁の銃を一般市民が所持しているという。

 自衛の範囲を超える大量の銃器が社会に広がり、18歳の若者が比較的簡単に銃を手にできる環境こそが、繰り返される悲劇の原因となっていることを直視すべきだ。

 バイデン大統領は「他の国では乱射事件はほとんど起きない。なぜこのような殺りくを許しているのか」と怒りをあらわにし、銃規制強化を訴えた。

 11月の中間選挙では争点の一つとして浮上する可能性がある。銃被害をなくすためには党派を超えた取り組みが必要だ。

 今度こそ、恥ずべき銃社会に歯止めをかけられるか、世界が注視している。