レコードタイム更新ラッシュを制したWedsSport国本が初ポール。Z勢は明暗分かれる【第3戦GT500予選レポート】

 快晴の鈴鹿サーキットで開催された2022年スーパーGT第3戦GT500クラスの公式予選は、19号車WedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資が自身キャリア初のポールポジションを獲得。チームとしても第2戦富士に続く2戦連続のポール獲得となり、2番手には最後に渾身のアタックを決めた宮田莉朋の37号車KeePer TOM’S GR Supraが入り、最終的にトヨタ陣営が最前列を固める結果となった。

 金曜搬入日に東海~関東を襲った大雨も去り、5月28日(土)の三重県鈴鹿市は初夏を思わせる暑さに。9時30分に遅れて開催された公式練習時点で、早くも気温26度、路面温度も36度にまで上昇した。

 明日29日(日)の決勝はさらに気温が上がるとの予報もあり、ここでは各陣営とも入念なロングランを進めたが、11時05分からのクラス専有走行枠では38号車ZENT CERUMO GR Supraがトラブルからバックストレート入口でストップ。結果、鈴鹿4連覇の掛かる23号車MOTUL AUTECH Zのみ、間一髪でアタックラップに入り自己ベストを更新する手応えを得たものの、その他の車両は満足いく予選シミュレーションがこなせないまま午後の予選に挑むかたちとなった。

■Q1 3号車千代が復活を印象付けるコースレコード更新タイムを記録

 タイムスケジュールよりさらに10分遅れ、14時55分からGT300クラスQ1A組の予選が開始されると、この時点で気温は28度、路面温度は44度にまで上昇。GT500のQ1開始時刻となる15時28分には路面状況確認の意味も込め、各車が等間隔のスペースを取るように、順次コースへと向かっていく。

 3分半経過で19号車WedsSport ADVAN GR Supra、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがピットを離れ、午前のトラブル復旧が叶わなかった38号車ZENTを除く14台がウォームアップを進めると、計測3周目の8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺が1分45秒388台の基準タイムを叩き出し、背後に12号車カルソニック IMPUL Zの平峰一貴が続いていく。

 先行してコースインしたグループが4周目のラストアタックに向かうなか、後方待機組のなかでスキッドブロックを擦り付けながら早めのアタックに入った3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正が、1分44秒230といきなりのコースレコードタイムを記録。前戦の大クラッシュから急きょ開発車両を転用したぶっつけ本番のマシンで、強烈な復活を印象付けるトップタイムをマークする。

 直後には隊列先頭でコースインしていた39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口雄飛が1分44秒821で2番手に続き、17号車Astemo NSX-GTも同じく計測4周目のラップで3番手へと浮上。その一方、3号車と同じく待機組だった24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zや、19号車WedsSportの阪口晴南らも3周目の計測でトップ5に顔を出してくる。

 続くラップで37号車KeePer TOM’S GR Supraサッシャ・フェネストラズがタイム更新で3番手に入れ替わり、クラス最多46kgのサクセスウエイト(SW)を搭載するポイントリーダー、14号車ENEOS X PRIME GR Supra山下健太がチェッカーラップでなんとかQ1突破に望みをつなぐ8番手へと飛び込む。しかし同じくラストアタックを決めた12号車カルソニックの平峰が、1分45秒140まで詰め7番手に滑り込み、残念ながら14号車はカットラインから脱落。

 ニッサンは首位3号車とカルソニックの2台が、トヨタは2番手の39号車以下3台が、そしてホンダも4番手のAstemoと8番手のRed Bull MOTUL MUGENがQ2へと進出。午前首位の23号車MOTUL AUTECH Zや、前戦勝者8号車ARTA NSX-GTは、惜しくもQ1敗退となってしまった。

2022スーパーGT第3戦鈴鹿 予選Q1アタックでコースレコードタイムを記録した千代勝正(CRAFTSPORTS MOTUL Z)

■Q2 WedsSport国本がレコードタイム更新で自身初ポール。Kepper宮田は惜しくも届かず

 GT300のQ2を挟み16時06分より始まったQ2は、Q1と同じく39号車DENSOの中山雄一が真っ先にコースイン。その後はさらに間隔を空けてトラックへと向かった各車は、4分経過時点で19号車WedsSportの国本雄資が1番最後にピットを後にする。

 すると隊列の5番目でウォームアップを進めた3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zの高星明誠は、やはり早めのタイヤグリップ発動を得て計測2周目から1分50秒台を記録すると、続く周回で1分44秒425を叩き出し、自身の完全復調を証明するタイムを叩き出す。

 その背後では39号車DENSO中山と17号車Astemoの松下信治が入れ替わりで2番手へと続いていく。すると最後尾から3周目のアタックラップに入っていた19号車WedsSport国本が、ここで1分44秒112とQ1レコードをすぐさま更新する驚異的タイムで首位浮上を果たし、第2戦に続いてTGR TEAM WedsSport BANDOHは2戦連続、そして国本にとっては自身キャリア初のポールポジションを奪い取ることに。

 さらに計測4周目にシケイン飛び込みでわずかにロスしながら、3番手タイムとしていた37号車KeePerの宮田莉朋が、自身5周目のチェッカーラップでセクター4全体ベストを記録し、渾身の挽回を決めて2番手にジャンプアップ。意地の宮田が最後の最後でフロントロウに飛び込み、GRスープラが最前列をロックアウトする結果に。

 明日の300km決勝に向け、セカンドロウ3番手に下がった3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zと、計測3周目に大湯都史樹が1分44秒457を記録したダンロップタイヤ装着の16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが、2列目からの逆襲を狙う構図となった。

2022スーパーGT第3戦鈴鹿 予選アタックに向かうWedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 ポールポジションを獲得した国本雄資を祝福する関口雄飛
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 GT500ポールポジションを獲得したTGR TEAM WedsSport BANDOH

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