鹿児島県が鹿児島港の港湾計画を見直すかどうかに関係者の関心が集まっている。県の新総合体育館(スポーツ・コンベンションセンター)計画が進む同港本港区エリア(鹿児島市)に、市が構想を練るサッカースタジアムを整備する場合は変更が必須とみられるからだ。現計画になったのは29年前で、「時代にそぐわない」との声も上がる。
港湾計画は港湾法に基づき、港と周辺の土地の利用方法などを定める。鹿児島港の現計画は南北約20キロにわたり本港区や新港区など七つの港区に分け、用途を決めている。通常は10〜15年先を見据えて策定されるが、鹿児島港は1993年の改訂を最後に本格的な見直しは行われていない。
県が体育館整備地とした本港区のドルフィンポート跡地は、文化・レクリエーション施設を設置できる「交流厚生用地」。体育館を建てるだけであれば、計画を変える必要はない。
一方、三つの候補地でスタジアム整備を検討する市が同跡地での整備を決め、市電も延伸しようとする場合、現状の土地の形や広さのままでは難しく、隣の緑地や臨港道路の付け替えが生じる可能性がある。また、近くの住吉町15番街区に整備するには埋め立てが必要になると見込まれる。
付け替えや埋め立てなどを行うには港湾計画の変更を迫られるとの見方が強い。そのため下鶴隆央市長は県に見直しを求めている。
変更を迫る声は県議会からも次々に上がる。5月下旬、鹿児島港を生かした街づくりを考えようと有志が鹿児島市で開いた講演会。講師を務めた無所属の岩重仁子、自民党の米丸麻希子両県議は終了後の取材に、時代に合っていない部分があるとして「変更した方がいい」と口をそろえた。
別の議員は、主に喜界航路の発着しかなくターミナルビルや上屋が十分に活用されていない本港区の北ふ頭の現状を問題視する。「北ふ頭を活性化するためには、港湾計画の見直しが必要」と訴える。
塩田康一知事は5月の定例会見で見直しを検討する考えを示した。だが、県港湾空港課は「今のところ検討材料がそろわず、変更する、しないのどちらにも傾いていない」とする。
港湾計画は街づくりに大きく関わる。近く開会する6月県議会でどこまで踏み込んだ議論が交わされるか注目される。