前代未聞の大挑戦、400人がかりで世界最大の和紙作りプロジェクト 越前和紙の産地でギネス認定なるか

岡本小学校創立150周年記念事業として世界最大の和紙を手作りするプロジェクトを企画した実行委メンバー=5月24日、福井県越前市の同校

 越前和紙の産地にある福井県の越前市岡本小学校の創立150周年記念事業として、児童や卒業生が力を合わせて世界最大の和紙を手作りするプロジェクトが立ち上がった。同校グラウンドに設ける幅1.7メートル、長さ100メートルの木枠に、約400人がかりで原料を流し込み、約170平方メートルの和紙制作に挑む。決行は夏休み中の8月11日。ギネス世界記録の認定を狙う。

 越前市岡本地区は、紙祖神を祭る大瀧神社・岡太神社のお膝元で、多くの製紙所が集積。岡本小の児童たちは普段から紙漉き体験に親しみ、卒業証書は同校中庭で育てた和紙原料のコウゾを使って制作している。記念事業は、同校PTAの歴代会長や役員で結成した実行委員会が「子どもたちの記憶に残り、地域が一体となれる取り組みを」と発案した。

⇒実は福井産、世界最長150mの「うんてい」

 前代未聞の挑戦に地元の和紙職人たちも協力を買って出て、作り方が決まった。グラウンドに並べた樹脂製の土台の上に網を敷き、延長100メートルにわたって木枠をセット。児童や保護者、住民らがバケツ持参で集まり、コウゾとガンピ、ミツマタを混ぜた原料を枠内に投入する。4日程度かけて自然乾燥させれば完成となる見通しだ。

 実行委が調べたところ、手作りした紙の大きさの世界記録は、2015年にパラグアイで制作された149.5平方メートル。乾燥による収縮も見込み、余裕を持って上回れる面積を設定した。完成後に測量士による計測データと作業の動画を、ギネスの認定機関に提出。10月1日に開く記念式典会場の同校体育館に巨大和紙を飾り、出席者全員で記録達成の喜びを分かち合うことにしている。

 完成した和紙は公共施設などで一般公開もする予定。実行委の同校OBらは「北陸新幹線越前たけふ駅の開業後はホームに飾れないだろうか」と産地のアピールへ夢を膨らませている。

 本番での万全を期すため、10分の1サイズとなる和紙の試作を5月29日に行う。実行委会長を務める小畑製紙所社長の小畑明弘さん(61)は「紙漉きの伝統は地域の誇り。伝統を引き継いでいく住民みんなの絆として、世界記録を達成したい」と意気込んでいる。

© 株式会社福井新聞社