シロツメクサ

 幸せの象徴といえば「四つ葉のクローバー」。クローバー、すなわちシロツメクサの花が目立つ時季だ。花が咲くのは4月から7月ごろ。群生する公園やグラウンドでは、地面に敷き詰めた「白いじゅうたん」のように見える▲丸くてかわいらしい花は、実は50個ほどの小さな花が集まってできている。蜜を集めに来たミツバチがここにも、そこにも。農薬の影響で減少しているといわれるだけに、少しほっとする▲シロツメクサはヨーロッパ原産の外来植物だ。特徴は繁殖力の強さと、踏み付けられてもへこたれない丈夫さ。ミネラルもたっぷりで、欧州では昔から牧草として重宝されてきた▲シロツメクサは長崎ゆかりの植物でもある。江戸時代の長崎・出島で行われたオランダ貿易で、オランダ船が積んでくるガラス製品が割れないように保護するため、干したシロツメクサを箱に詰め、緩衝材として使った。そのため「詰草(つめくさ)」と呼ばれるようになった▲明治以降、北海道などで牧草として使用されるようになると、瞬く間に日本中へ広がった。今では公園や道端など至る所に自生している。愛らしい外見に似ず、実にたくましい▲異国からはるばる海を渡り、長崎にやって来たシロツメクサ。ありふれた植物も歴史を知れば、いっそう親しみが湧いてくる。(潤)

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