収まらないFCYカウントダウン時のアクシデント。GT500に起きたトラブル、ペナルティまとめ【第3戦鈴鹿決勝】

 FCY(フルコース・イエロー)3回、SC(セーフティカー)2回が導入されて、サバイバル模様となったスーパーGT第3戦鈴鹿。GT500クラスで起きたトラブルやアクシデント、ペナルティとなった案件について、現場での取材をもとにまとめた。今回の鈴鹿ではFCY導入時、そして解除時に多くのアクシデントが発生し、それぞれにペナルティが課された。

 レース開始早々の2周目にスローダウンしてS字の外側にマシンを止めることになってしまったのは、12号車カルソニック IMPUL Z。レース後はまだマシンが戻ってきれおらず原因は不明とのことだが、エンジンが突然ストップしてしまったことからエンジン関連の問題が起きてしまったようだ。

2022スーパーGT第3戦鈴鹿 逆バンクでマシンを止めたカルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)

 同じく、11周目にS字のふたつ目で白煙を上げながらマシンを止めることになった38号車ZENT GR Supra。こちらのリタイア原因も、エンジントラブルとのことだった。38号車は前日の練習走行でもエンジン周りの燃料ポンプからガソリンが漏れたことによる炎上でエンジン交換を余儀なくされ。予選を欠場して夜中の午前2時まで換装作業を行っていたばかりだった。

 今季2基目のエンジンを投入したばかりで、決勝前の20分間走行では問題なかったというが、決勝11周目でその搭載したばかりの2基目のエンジンが壊れてしまった。38号車は次の第4戦富士で3基目を投入することになりそうで、そうなるとペナルティを受けることになる。さらに、その3基目で最終戦まで戦うのは難しく、シーズン終盤に4基目のエンジン搭載も濃厚となってしまったため、その時点でもまたペナルティを受けることになり、今回の鈴鹿はまさに鬼門となってしまった。

 レースでも4度のペナルティが提示される、荒れた展開となった。36号車au TOM’S GR Supraジュリアーノ・アレジは黄旗区間での追い越しでドライブスルーペナルティ、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT大湯都史樹はFCY中の追突、23号車MOTUL AUTECH Z松田次生はFCY明けにGT300マシンと接触してしまいドライブスルーペナルティ、さらに次生はレース後、FCY中の追越しでドライブスルーペナルティ相当の40秒加算と、正式結果の欄外の記述が溢れるようなリザルトとなった。

FCY解除後にGT300マシンと接触して右フロントフェンダーまわりを破損した23号車MOTUL AUTECH Z。この接触でペナルティを受けることに。

 今回、特に目立ったのがFCY導入時、そして解除時のカウントダウンタイミングでのアクシデントだ。松田次生は27周目の2度目のFCY導入時、100号車STANLEY NSX-GT山本尚貴と順位を争っていたが、130RからシケインにかけてのタイミングでFCYのカウントダウンが始まったシケインの進入で山本のインに入り、追い抜いてしまった。

 FCY導入時に抜かれてしまった100号車側はすぐにGTAに報告を行ったようだが、タイミングモニター上では検証対象とはなっておらず、その検証がレース後に行われ、ペナルティもレース後に出されたことを問題視。検証手順などについてレース後、コントロールタワーに説明を求める動きが見られた。

F1などはレースコントロールの方でFCY時のタイミングを一斉に合わせ、コントロールできるが、スーパーGTではチームからの無線やコクピットモニター上の表示を見て、最終的にはドライバーがコントロールするかたちを採用している。機械ではなく人の判断で進めている以上、常にノーミスで行われるわけではないとは言え、今回の多くのアクシデントを見逃すことはできない。

 これまでもFCYで何度か接触などのアクシデントが起きているが、FCY導入時、そして解除時のカウントダウン時の対応がドライバー個々に委ねられており、今回の件を見てもその認識に大きな差があるのは明かだ。そして、今回のように検証案件が重なるとレースコントロール側の迅速な対応や管理が難しくなることからも、ドライバー間のさらなる認識の統一と合わせて、今後の改善策が求められる。

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