四季折々の日本のまつり12選〜概要・日程・見どころなど〜

1年中どこかで開催される日本の「まつり」

日本のまつりといえば、多くの人はを思い浮かべるでしょう。

たしかに、夏になると、毎週末のようにまつりの和太鼓の音や、神輿(みこし)をかつぐ人々の威勢のいい掛け声が聞こえてきます。

運がよければ1日の終わりに、日本の夏の風物詩ともいえる花火が夜空を彩るのを見ることもできるでしょう。

けれど、日本では1年を通して、じつにさまざまなまつりが行われているのです。

日本のまつり〜基礎知識〜

日本でfestivalは「まつり」と呼ばれています。日本の多くのまつりでは、地元の人々が山車(だし)をひいたり、神輿をかついだりして町を練り歩きます。

山車と神輿が目に見えて違う点は、山車は人々がひいて歩くものであるのに対し、神輿は人々が肩にかつぐものだという点です。山車の上には人が乗ることができますが、神輿の上には乗れません。神輿は、神の乗り物だとされているからです。

神輿を担ぐ人のリズミカルな掛け声や、山車の上で演奏されるお囃子(※1)も、まつりの醍醐味の1つです。

「雪まつり」や「〇〇踊り」のような、山車や神輿が登場しないまつりもあります。

すべてのまつりに山車や神輿が出るわけではないので、山車や神輿を目当てにまつりに行こうとしている人は、事前に下調べをしておきましょう。

日本のまつりのなかでも、もっとも規模が大きく、賑やかなまつりを12個ピックアップしました。まつりが開催される月順に紹介します。

目次:

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番外編.

1. 幻想的な冬の世界「さっぽろ雪まつり」(2月)

上記で紹介した、山車や神輿の登場するものとは大きく異なるまつりです。「さっぽろ雪まつり」は、毎年2月に開かれます。期間は約1週間。まつりの期間中は、日本中から多くの人が札幌を訪れます。

「さっぽろ雪まつり」の見どころは、雪と氷で作られた巨大な彫刻です。世界の名所を模したもの、映画や漫画をテーマにしたものなど、さまざまな氷像を楽しめますよ。

雪と氷でできたカップラーメンやビールなどの、ユニークな氷像もあります。

22:00までは氷像がライトアップされ、見応え抜群です。

近年では、プロジェクションマッピング(※2)の投影も行われています。まるで氷像に命が吹き込まれたかのような、ドラマチックな光景です。

「さっぽろ雪まつり」だけでなく、まつり全般で楽しみたいものといえば、おいしいグルメ北海道は、新鮮な海産物で知られます。「さっぽろ雪まつり」では、たくさんの種類の海の幸を味わうことができますよ。

暖かな上着とカイロで防寒対策を完璧にして、世界中でもっとも美しい冬のまつりを楽しんでください。

例年の「さっぽろ雪まつり」の開催期間:大通会場・すすきの会場 2月上旬 / つどーむ会場 1月下旬〜2月上旬

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2. 子授けとジェンダーの多様性を祝う、川崎の「かなまら祭」(4月)

かなまら祭」は、毎年4月に川崎市で開かれるまつりです。男性器の形をした神輿が登場することもあり、世界でも広く知られています。

子授けを願うこのまつりでは、インパクトのあるまつり行列だけでなく、男性器の形をしたお菓子やおみやげを買って楽しむことができますよ。

「かなまら祭」はたくさんの人にとって意味をもつまつりです。子授けと、どんな性自認(ジェンダー・アイデンティティ)でも差別がない世界を願うものだからです。

「かなまら祭」は、商売繁盛や子授け、夫婦円満などのご利益で知られる金山神社で行われます。

このまつりは、「病気でも、どんな地位・性的指向かも関係なく、誰もが昼間に楽しめるまつりを」という思いから誕生したもの。このため、日本のLGBTコミュニティにとっても大きな意味をもちます。

「かなまら祭」に登場する3基の男性器型の神輿のうち1基は、「エリザベス会館」という女装クラブから寄贈されたものです。

4月初旬に東京や川崎市を訪れたら、平等と生命力を祝うこのまつりに参加してみませんか?

例年の「かなまら祭」の開催期間:4月上旬

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3. 浅草で700年続く「三社祭」(5月)

三社祭」は、浅草浅草神社で行われるまつり。古文書によれば、このまつりは1312年から行われているとの記録があり、700年もの歴史をもつとされています。

開催期間は、毎年5月の第3週目の金~日曜日。3日間かけて行われます。東京でもとくに規模が大きいまつりで、およそ15万人もの人が訪れます。

神輿を見たいという人にとって、「三社祭」はぴったりでしょう。まつりの主役ともいえる浅草神社の3基の神輿のほかに、100基もの神輿が周辺の町から出されます。

子どもや女性だけでかつぐ、小さめで軽い造りの神輿もありますよ。日本のまつりで、神輿をかつぐ人々の中に女性がいるのは普通ですが、女性だけでかつぐ神輿はなかなか見られません。

歴史のあるまつりや神輿が好きな人にオススメの三社祭。東京の代表的な観光スポット、浅草エリアで行われることもあり必見です。

例年の「三社祭」の開催期間:5月第3金曜日~日曜日

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4. 東京で平安時代がよみがえる「神田祭」(5月)

三社祭を目当てに東京を訪れる人は、「神田祭」にも行ってみてください。5月15日に近い週末に行われる神田明神の祭まつりで、京都祇園祭大阪天神祭と並ぶ「日本三大祭り」の1つとされています。

「神田祭」は年によって内容が異なり、奇数の年に行われる本祭(ほんまつり)と、偶数の年に行われる蔭祭(かげまつり)の2つがあります。

本祭の見どころは、500人以上もの人々が平安時代 (794-1185)の衣装を着て歩く行列です。行列は神田明神を出発。秋葉原の電気街を、現在と過去が並ぶ印象的な光景をつくりだしながら進みます。

次の日には、およそ100基もの神輿が神田明神を目指してやってきます。神輿を担ぐ男性には、日本古来の下着であるふんどしを締めている人も。

5月に日本を訪れたら、「三社祭」と「神田祭」の2つの賑やかなまつりを楽しみましょう。

例年の「神田祭」の開催期間:5月中旬

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5. 京都がまつり一色に染まる「祇園祭」(7月)

先ほど紹介したように、京都の「祇園祭」は「日本三大祭り」の1つです。まつりは、7月初旬から1ヶ月をかけて行われ、世界中から多くの人がやってきます。

「祇園祭」のまつり行列には、日本の伝説などをテーマにした33の山鉾(やまぼこ)という山車が登場します。どれも、まつりのために時間をかけて用意されたものです。

多くの人はまつりを見るために日中に訪れますが、オススメは暗くなってから。山鉾に飾られた無数の提灯に火がともると、まつりの雰囲気がガラリと変わります。怪しげでもあり、美しくもある、光の海のような幻想的な光景です。

この賑やかなまつりは、歴史ある祇園の町の雰囲気にとてもよく似合うもの。まつりの時期に訪れると、昔にタイムスリップしたかのような気分になりますよ。

夏に日本旅行をするときは、京都の有名な「祇園祭」にも行ってみましょう。

例年の「祇園祭」の開催期間:毎年7月1日~31日の1ヶ月間

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6. 街中で山笠が疾走「博多祇園山笠」(7月)

福岡市の「博多祇園山笠」を、同じ7月に行われる京都の祇園祭と混同しないようにしましょう。

博多市内で開催される櫛田神社の例大祭で、ユネスコ世界文化遺産にも登録されました。いまから800年ほど前、疫病が流行していた博多で、ある僧が住民に担がせた木製の台車に乗って町中に水を撒き疫病退散を祈ったのがまつりの発祥と言われています。

まつりは8日間かけて行われます。大勢の男性が山笠と呼ばれる山車を曳き、その速さを競うことから、もっとも豪快なまつりの1つとされています。山笠はとても重く、屈強な男性でも数分しか曳くことができません。そのため、山笠を曳く人は絶えず交代をします。
博多の町をあげてのまつりであるため、会社によってはまつりのための休みを取れるところもあるそう。

とても早く動く山笠に、あなたはついていけますか?

例年の「博多祇園山笠」の開催期間:7月1月〜15日

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7. 古(いにしえ)の大阪にタイムスリップ「天神祭」(7月)

毎年7月24日と25日の決まった日程で催されるのが、大阪の「天神祭」。「日本三大祭り」の1つで、大阪天満宮に祀られる学問の神を祝い、商売繁盛と無病息災を祈願するまつりです。

このまつりでは、時代衣装を纏った人々の行列と、電球で飾り付けた船が大川(おおかわ)を運航する様子がとくに有名です。

「天神祭」は2日かけて行われますが、大勢の人が参加する時代行列と船の運航があるのは7月25日のみ。大阪での滞在日程が少なく、どちらか1日だけ参加したいときは、25日に訪れるとよいでしょう。

まつりの終盤では大きな花火の打ち上げがあり、まつりと花火を一度に楽しめます。ここだけでしか見られないまつりを見逃さないようにしましょう。

例年の「天神祭」の開催期間:7月24月、25日(毎年、宵宮が7月24日、本宮が翌7月25日)
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8. 夏の暑さを吹き飛ばせ!徳島の「阿波おどり」(8月)

阿波踊り」とは、徳島の郷土の踊りと、人々が阿波踊りを披露する日本最大級のまつりの両方を指す言葉です。まつりは、死者の魂が故郷に帰ると考えられているお盆の時期に催されます。阿波踊りが死者の魂を歓迎するものだと信じられているためです。

阿波踊りの起源は400年前の徳島に遡ります。阿波とは徳島の古い呼び方で、踊りはdanceを意味します。

まつりの開催中は、鮮やかな色の衣装を来た踊り子たちが、独特でエネルギッシュな踊りを披露します。まつりの楽しげなお囃子と、踊り子たちの衣装が一番の見どころです。

「阿波おどり」の歌詞は、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」というもの。誰でも踊りに参加することができるうえ、観客が踊れるステージも用意されていますよ。

徳島発祥の踊りですが、今日では日本各地でまつりが開催されており、東京の高円寺や、神奈川の川崎でも見ることができます。

自然があふれ、美しい景色やおいしいグルメが楽しめる徳島。この町を訪れる機会があれば、日本でもっとも印象的なまつりの1つ、「阿波おどり」も楽しんでください。

例年の「阿波おどり」の開催期間:8月12月〜15日

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9. 「青森ねぶた祭り」で明るく輝くねぶたを見よう!(8月)

青森の「ねぶた祭り」は、七夕(7月7日)の夜に海に灯籠を流して自分や家族の無病息災を祈る伝統行事が元になったものといわれています。

ねぶた祭りが現在のような形になったのは1716年ごろで、このころ、人々が灯篭をもって街中で踊る行事となりました。その後しばらくして、今日のような歌舞伎などをテーマにした、ねぶたと呼ばれる山車が登場するまつりへと変化を遂げたのです。

夜に明かりがともったねぶたは、生き生きとして見えます。夜空をこれほど明るく照らすまつりは、「青森ねぶた祭り」以外にはありません。まつりの山場は、花火が打ち上がるなか、ねぶたを船に乗せて青森港を周遊するねぶたの海上運行です。

この美しい光景を見逃さないで!

例年の「青森ねぶた祭り」の開催期間:8月2月〜7日(曜日に関わらず毎年8月2~7日)

10. 東京近郊で大きな山車を見るなら「佐原の大祭」(10月)

「佐原の大祭」は、千葉県の香取市で、10月の第2週目に3日間に催されるまつりです。まつりで出される山車は、地元の住人が1年をかけ丹精をこめて準備をしたもの。佐原の大祭の山車は、日本でもっとも大きな山車の1つとされています。

25の地域それぞれが山車を保有していますが、そのうち14台がまつりで町中をまわります。それぞれの山車の中央には、目玉である大人形が据えられています。

この大人形は、有名な歴史上の人物や神話の登場人物を忠実に再現したもの。まつりに参加すると、山車や踊りを楽しめるだけでなく、歴史の勉強にもなります。

夏まつりのような賑やかなまつりをもう一度見たいときに、佐原の大祭はオススメです。

例年の「佐原の大祭」の開催期間:10月第2土曜を中日とする金曜・土曜・日曜日の3日間

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11. 外国の影響を受けたまつり「長崎くんち」(10月)

「長崎くんち」は、長崎の諏訪神社の例大祭です。毎年、10月7日から9日に催され、国指定重要無形民俗文化財に指定されています。

400年もの歴史をもつ「長崎くんち」の起源は、諏訪神社にたった2人の女性が捧げた舞だとされています。長崎は当時、日本で唯一海外との貿易が許されていた港でした。当時の日本と国交があった中国やオランダ、ポルトガルの影響を受けながら、まつりはだんだんと今日のような賑やかなものになっていきました。

「長崎くんち」の演し物は、各町が交代で担当しており、同じ演し物が見られるのは7年後です。年ごとに違うものが見られるのも、長崎くんちの特徴の1つです。

自分の国の民族衣装で、長崎くんちに参加してみては?

例年の「長崎くんち」の開催期間:10月7月〜9日(毎年10月7~9日)

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12. 灯篭と花火が夜空に輝く「秩父夜祭」(12月)

埼玉県の秩父市の「秩父夜祭」は、12月1日から6日にかけて行われます。まつりの特徴は、盛大な夏のまつりの時期が過ぎた、冬の時期に催されること。

300年の歴史もつまつりで、ユネスコ世界無形文化遺産と国の重要無形民俗文化財にも登録されました。

「秩父夜祭」の山車には、屋台(やたい)と呼ばれるものと笠鉾(かさぼこ)と呼ばれるものの2種類があります。これらの山車は、紙でできた無数の提灯がかざられていて、10人ほどの人が乗って踊ることもできます。

「秩父夜祭」という名前ですが、日中も楽しむことができます。しかし、夜になって山車に取り付けられた提灯に火がともると、より荘厳な雰囲気になります。まつりの終盤では、キラキラと輝く屋台が町中に勢揃いし、さらに、夜空に花火が打ち上がります。

クリスマス前に日本を訪れたら、ぜひ「秩父夜祭」に参加してみてください。

例年の「秩父夜祭」の開催期間:12月1日〜6日(毎年12月1日〜6日)

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まつりの人気グルメ5選

日本のまつりを訪れたら、屋台と呼ばれる出店(でみせ)に立ち寄ってみましょう。ご当地グルメや郷土料理にも出会えます。

1.まつりの人気者「焼きそば」

焼きそばは、炒めた麺と野菜、肉を甘辛いソースで味付けしたもの。濃い味で、アルコールによく合います。また、意外にも食べ歩きに向いています。多くのまつりでは、必ずといってよいほど焼きそばを見かけるでしょう。

2. 大阪のおいしい軽食「たこ焼き」

たこ焼きも、まつりで人気の食べ物です。小麦粉で作った生地にタコを入れて焼いたもので、焼きそばソースに似た甘辛いソースがかけられています。

大抵の魔つりでは、目の前で調理してもらえますよ。熱いまま出されるので、やけどをしないように気をつけてください。

3. 小腹が空いたときにぴったりの「焼き鳥」

焼き鳥とは、日本語で焼いた鳥という意味。鳥のさまざまな部位を串に刺し、塩や焼き鳥のたれで味付けています。一口サイズで串に刺してあるから、食べ歩きにぴったり。

4. 新しい味を試したい人には「イカ焼き」

新しいものを試してみたいときにオススメなのが、まつりで人気のイカ焼き(grilled squid)です。こちらは通常、イカを焼いて輪切りにし、醤油で味つけたもの。串刺し、または紙のプレートにのせて提供されます。

5. まつりの甘いおやつ「かき氷」「たい焼き」「ベビーカステラ」

甘いものが好きな人には、日本で"かき氷"と呼ばれている削り氷(shaved ice)がよいでしょう。夏の暑い日に食べると気分がさっぱりとします。

もっとお腹にたまるものを食べたいなら、たい焼きを選んでみましょう。魚の形をした甘い皮に、あんこを入れた食べ物です。ベビーカステラという、小さなボール状のカステラ(ケーキ)もオススメですよ。

日本のまつりに行ってみよう!

毎年行われる、日本の楽しいまつりに参加してみませんか?

美しい氷の祭典「さっぽろ雪まつり」から、日常を忘れて踊りを楽しむ「阿波踊り」まで、どのまつりもきっと貴重な思い出になるはずです。

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