山田方谷記念館 入館者1万突破 高梁 三上さん(名古屋)に記念品

1万人目の入館者となった三上さん(左)。右は山田館長

 幕末の備中松山藩で財政改革に手腕を発揮した儒学者・山田方谷(1805~77年)の生涯を紹介する山田方谷記念館(高梁市向町)の入館者数が1万人を突破した。2019年2月の開館以来、約3年3カ月。新型コロナウイルス禍に苦しめられながら大台を突破した。

 同館は郷土の偉人の功績を広くアピールしようと、旧高梁中央図書館1階をリニューアルして開館。方谷の書や肖像画などレプリカを中心に約40点を展示している。農商業の家に生まれた生い立ちから、学問を究めて藩の財政責任者に抜てきされて行った改革の内容、引退後も情熱を注いだ教育まで一生に沿う形で紹介している。

 19年度は約5千人が入館したが、20、21年度は、新型コロナの感染拡大による臨時休館や外出を控える動きが広がった影響もあり、約2千人ずつと伸び悩んだ。

 1万人は24日に達成し、観光で市内を訪れていた三上和恵さん(71)=名古屋市=が節目の入館者になった。この日の午後1時すぎに館内に入り、方谷の玄孫(やしゃご)でもある山田敦館長らに拍手で出迎えられた。

 記念セレモニーで山田館長が「入館者が減り心配していたが、1万人を迎えられてうれしい。方谷の存在を知ってもらえるよう引き続きPRする」とあいさつ。三上さんには、同館の年間パスポートや方谷について書かれた書籍などが記念品として贈られた。

 岡山市出身の三上さんは子どもの頃に遠足で備中松山城に登ったことがあるという。「パネル展示を通じ、庶民のことをよく考えていた方谷の人柄が伝わってくる」と話した。

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