駅伝の町『世羅』で、金メダリストが若いアスリートたちに熱いエールを送りました。
29日、世羅郡陸上競技協会がアスリート育成事業として開催した陸上教室です。指導するのは、2000年シドニーオリンピック・女子マラソン金メダリストの高橋尚子さん。陸上教室には、世羅高校の陸上競技部をはじめ、広島県内の中学生たちおよそ70人が参加しました。
高橋尚子さん
「あと1歩、がんばれ! 行ける、行ける! 離れないでいこう。前の背中を離さないでね」
高橋さんは、炎天下の中、練習を見守る保護者にも声をかけていました。
高橋尚子さん
「こうして応援してもらえるご両親がいらっしゃるのは本当にうらやましいです。ぜひ力を。支えていただければと思います。その前にきょうは暑いので、倒れないように給水などして…」
保護者
― 高橋さんから声をかけられていましたが?
「本当にお人柄が良いと思います」
世羅高校の隣りにある世羅小学校では、2015年世界陸上北京大会に出場した走り幅跳び元日本代表の菅井洋平さんが、県内から集まった小中学生21人を対象に走り方の基本を指導しました。
2015年世界陸上・北京大会 走り幅跳び元日本代表 菅井洋平さん
「足音がするくらい…」
参加した小学生
「基礎をしっかり教えてもらったので、生かしたいなと思います」
菅井洋平さん
「何か運動を始めるきっかけになってくれれば、ぼくは十分です」
小学生たちも会場を移動して、高橋さんの話を聞きました。ホワイトボードの前でマイクを片手に高橋さんは、自らの競技人生を振り返り、『感謝の大切さ』を子どもたちに伝えました。
高橋尚子さん
「みんな周りを見てください。きょうはお父さんお母さんをはじめ、町の人、学校の人、すごくたくさんの人たちが、みんなを応援するためにこれだけ集まっている。本当にすごいと思います。ありとあらゆるものに感謝をして、今、走らせてもらっている、走れるということに」
また、「夢や目標を持つことが大切で、それに向け、どう時間を使うか、すべての選手に可能性があり、チャンスがある」と訴えました。
講演の途中には、記録アップにつながったというストレッチ方法を指導しました。
最後に、「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ やがて大きな花が咲く」「疾風に勁草(けいそう)を知る」「丸い月夜も一夜だけ」という3つの言葉を贈りました。
高橋尚子さん
「満月も一夜しかない。だからこそ、その日は喜んでも次の朝から朝練習をしました。世界記録を出したときもそうです。きょうから気を引き締めていくぞと。勝ってもおごらずに次の日からまた練習をがんばろうと。この3つの言葉に支えられてきたので、みなさんにもこの言葉を贈りたいと思います」
子どもたちにとっても高橋さんの話に学ぶことが多かったようです。
参加した小学生
― 高橋さんから学んだことは?
「夢や目標に向かってがんばることです」
世羅高校陸上競技部の生徒たち
「目標を持つだけでなく、それまでの過程を大切にしようと思いました」
「強い選手が一番速いだけでなく、1つひとつ小さなことから継続していけるように」
高橋さんにとって今回が2回目の訪問となった『駅伝の町・世羅』そこで感じたことは―。
高橋尚子さん
「こうやって小さい頃から自分ががんばることに応援をしてもらったり、支えてくださる人たちの力というのは、子どもたちの可能性を広げてくれる、そんな無限の力になると思います」
「もちろん高校では一番ですけれども、さらに上を目指して、日の丸でも活躍する選手がここからたくさん出てきてくれるだろうという思いでいます」
高橋さんの言葉を糧に、『陸上の町』はますます熱く盛り上がりそうです。