実習生暴行問題で許可取り消し 国、岡山の監理団体に対し

監理団体の許可取り消しを受けた「岡山産業技術協同組合」=岡山市中区湊(画像の一部を加工しています)

 岡山市の建設会社でベトナム人技能実習生の男性(41)が約2年間、日本人従業員から暴行を受け骨折などのけがをした問題で、法務省と厚生労働省は31日、技能実習適正化法に基づき、実習先の会社を監督する「岡山産業技術協同組合」(同市中区湊、宮本誠一代表理事)の監理団体の許可を取り消した。実習生受け入れに関する業務が5年間できなくなる。

 古川禎久法相は閣議後記者会見で「監理団体が適正に機能せず、極めて悪質な人権侵害が発生したことは、制度そのものに内在する重大な問題と認識している」と指摘した。

 処分理由は、同社への監査を適切に実施しておらず、男性からの相談に適切に応じて男性や同社に必要な措置を講じなかったなどとしている。両省は1月、同組合と同社に改善を勧告し、2月には同社に技能実習計画の認定を取り消す処分をしていた。

 監理団体が取り消し処分となった場合、受け入れ企業などの実習先はおおむね3カ月以内に、別の監理団体と新たに契約を結ぶよう求められる。処分を受け、宮本代表理事は「仲介先の企業や実習生については技能実習に支障が出ないよう対応したい」と述べた。

 関係者によると、男性は2019年秋に来日し、働き始めて1カ月ほどで暴行を受け始めた。複数の従業員にほうきでたたかれたり、安全靴で胸を蹴られてあばら骨を3本折られたりした。同組合職員も男性が作業中に歯を折る大けがをしたことを知りながら、医師らに「自転車でこけた」と虚偽の説明をしたという。

 同組合と同社は今年4月、男性に謝罪し、慰謝料を支払うことで合意した。

 出入国在留管理庁によると、17年の技能実習適正化法の施行後、監理団体の許可取り消しは今回を含めて33件。岡山県内では他人に名義を貸して監理事業を行わせたとして昨年4月に岡山市の別の監理団体の許可が取り消されている。

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