C&W、2022年Q1の東京オフィス市況は大型ビルを中心に賃料減額傾向に

東京は質を重視する傾向が強まり、空室動向は二極化

グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、東京におけるオフィス市況について最新のレポートを発表致しました。

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経済環境 21年第4四半期の東京都の就業者数は前年同期から9.5万人増加、失業率は同0.6ppの低下に転じ、2.4%となった。産業別では情報通信が9万人増と就業者数増加を力強く牽引している。22年第1四半期の日本の失業率は同0.1pp減の2.7%。東京都の所在する南関東の失業率も同0.1pp減の2.9%と改善傾向。

需給
エリア別の強弱はあるものの、年内の新規供給が限られている中、オフィス需要は復調の兆しが見られ始めている。都心5区グレードAオフィスの空室率は前年同期比1.6pp上昇し3.0%となった。サブマーケット別にみると、引き続き新橋・汐留エリアの空室率が最も高く、前年同期比16.7pp増の17.5%と高止まりしているものの、前四半期の19.3%からは小幅に減少した。また、外資系企業の減床の影響も受け、空室が目立っていた六本木エリアの空室率は、前年同期比1.6pp減の3.5%となり、前四半期の6.1%から大きく改善した。経済環境の不確実性が高まる中で、質の高い新築ビルを求めるテナントの潜在需要は大きい。2022年7月竣工予定の九段会館テラス(飯田橋・九段エリア)は約8割が内定しており、2022年竣工ビルの内定率は約48.7%と回復基調にある。大量供給が予定されている2023年の新規供給物件においては、現時点で内定率は約27.5%である。

賃料
都心5区グレードAオフィス全体の平均想定成約賃料は前年同期比4.8%減少し34,678円となったが、大型ビルを中心に、賃料減額の傾向が強まっている。

Outlook
質を重視する傾向が強まる: テレワーク導入により大規模な面積を占める大企業を中心に部分解約が増加し、グレードAクラスビルの賃料に割安感が出ている。立地が良くグレードの高いオフィスは成約率が高く、グレードの低いビルは空室が埋まり難い状況が続いている。新規供給においても、利便性が良く、賃料に割安感があるビルや、これに加え労働生産性の向上を助けるテクノロジーを活用したスマートビル等で内定率が高まる傾向。

賃料は下落傾向: 移転面積は増加傾向にあるものの、成約面積が小規模な移転事例が多く、コロナ禍で増加した既存ビル内の空室面積が吸収されない見通し。賃料水準は、今後2年間で6%台を目処とした下落が続く事が見込まれる。

エリア別の空室動向は二極化: 都心5区の今後2年間の空室率は5%台を目処とした緩やかな上昇を見込む。ただし、エリア別空室率には既に相応の格差が生じており、賃料を減額しても空室が埋まらない事例も散見される。ビルオーナーによっては、特に景気感応度の高い業種を中心に、テナント退去に備えたリスク管理に注力している。 一方、23年の港区を中心とした大型供給の内定も進む中、テナントには早めの移転計画の開始を推奨する。

売買動向は大型化へ: 需要が供給を上回る状況が継続しているため、一等地の優良物件においては従前よりもかなり強気のビッドも散見されている。ただし、他セクター対比でファンダメンタルが弱含みしていることには変わりはなく、投資ポートフォリオ全体のリスク管理が求められていく局面といえるだろう。

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クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(ニューヨーク取引証券所:CWK)は、オキュパイヤーとオーナーの皆様に有意義な価値をもたらす世界有数の不動産サービス会社です。約60カ国400拠点に50,000人の従業員を擁しています。プロパティー・マネジメント、ファシリティー・マネジメント、プロジェクト・マネジメント、リーシング、キャピタル・マーケッツ、鑑定評価などのコア・サービス全体で、2021年の売上高は94億ドルを記録しました。詳しくは、公式ホームページwww.cushmanwakefield.com にアクセスするか公式ツイッター @CushWake をフォロー下さい。