略奪と殺りくにより変わり果てたメキシコシティ 「ニューオーダー」本編映像

6月4日より劇場公開される、第77回ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞を受賞した映画「ニューオーダー」から、略奪と殺りくにより変わり果てたメキシコシティの様子を捉えた本編映像が公開された。

公開された本編映像では、政府や富裕層への抗議運動が暴動へと発展し、略奪と殺りくが繰り返された末、軍部の武力鎮圧が行われ、変わり果てたメキシコシティの様子が次々に映し出される。黒煙がうず高く上がり、道路には軍用車、空には軍用ヘリが行き交う。暴徒たちの略奪の標的となった高級ブティックの前の通りや、独立記念碑を望む目抜き通りの前には、死体が点在する。教会の前には死体がどんどん運び込まれ、病院らしき建物の前にはテントがびっしりと並び、収容しきれない負傷者たちのための野戦病院と化している。屋外シーンでは、総勢3000人ものエキストラを起用したという。

ミシェル・フランコ監督は、「暴動には、個人が意を決して参加しても、次第と個性を失い集団として行動するという習性があります。本作のデモ参加者は革命家ではなく、大義名分もない。どこに行きたいという明確な意識はなく、ただ、今の状況が耐えられないだけなのです。(中略)このような状況に軍事的な暴力が加わると、一触即発の状態になってしまう。一方のメキシコでは、武力行使の面でも、経済的な面でも、すでにすべての権限を軍に委ねており、これは非常に気になるところで、完全に内戦を招くシナリオです」とメキシコの現状に危惧を示し、「自分が言うべきことを映画を通して伝えたい」とインタビューで述べている。

「ニューオーダー」は、経済格差がもたらす社会秩序の崩壊を描いたスリラー映画。マリアンが夢に見た結婚パーティーの日、豪邸には着飾った政財界の名士たちが集う。一方、マリアン宅からほど近い通りで、広がり続ける貧富の格差に対する抗議運動が暴動と化す。暴動の勢いは爆発的に広がり、ついにはマリアンの家にも暴徒が押し寄せてくる。華やかな宴は一転して殺りくと略奪の場となり、日常は悪夢に変わる。長編デビュー作から4作品連続でカンヌ国際映画祭に正式出品され、コンペティション部門での脚本賞を含む3冠に輝いてきた、メキシコのミシェル・フランコが監督を務めている。

【作品情報】
ニューオーダー
2022年6月4日(土)、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:クロックワークス
(C) 2020 Lo que algunos soñaron S.A. de C.V., Les Films d’Ici

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