【骨太方針原案】「診療報酬改定DX」進める/医療保険の運営コスト削減

【2022.05.31配信】政府は5月31日に経済財政諮問会議を開き、「経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)原案」を公表した。この中で「診療報酬改定DX」を進めるとし、それにより医療保険の運営コストを削減する方針を示した。「全国医療情報プラットフォームの創設」も記載し、「オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームをいう」と記載した。

原案で以下のように記した。

医療・介護費の適正化を進めるとともに、医療・介護分野でのDXを含む技術革新を通じたサービスの効率化・質の向上を図るため、デジタルヘルスの活性化に向けた関連サービスの認証制度や評価指針による質の見える化やイノベーション等を進め、同時にデータヘルス改革に関する工程表にのっとりPHRの推進等改革を着実に実行する。オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に、2023 年4月から導入を原則として義務付けるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す。2024 年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等 」及び「診療報酬改定DX」の取組を行政と関係業界が一丸となって進める。そのため、政府に総理を本部長とし関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する。経営実態の透明化の観点から、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備するとともに、処遇改善を進めるに際して費用の見える化などの促進策を講じる。医療・介護サービスの生産性向上や医療DXの推進を図るため、タスク・シフティングや経営の大規模化・協働化、オンライン診療の活用を推進する。
経済安全保障や医薬品産業ビジョン 2021 等の観点も踏まえ、医薬品の品質・安定供給の確保とともに創薬力を強化し、科学技術力の向上とイノベーションを実現する。がん・難病に係る創薬推進等のため、臨床情報と全ゲノム解析の結果等130の情報を連携させ搭載する情報基盤を構築し、その利活用に係る環境を早急に整備するとともに、「がん対策推進基本計画」の見直し等がん対策を推進する。大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備を進める。予防・重症化予防・健康づくりを推進する。

電子カルテ情報も含む「全国医療情報プラットフォームの創設」記載

なお、以下のような注釈が付されている。

オンライン資格確認の支援等の措置の見直しに関しては、「診療報酬上の加算の取扱いについては、中央社会保険医療協議会において検討」と記載した。

保険証の原則廃止に関しては、「加入者から申請があれば保険証は交付される」と記載した。

「全国医療情報プラットフォームの創設」に関しては、「オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフ
ォームをいう」と記載した。

電子カルテ情報の標準化等については、「その他、標準型電子カルテの検討や、電子カルテデータを、治療の最適化やAI等の新しい医療技術の開発、創薬のために有効活用することが含まれる」と記載した。

診療報酬改定DXについては、「デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目指すことをいう。これにより、医療保険制度全体の運営コスト削減につなげることが求められている」と記載した。

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