模擬人工衛星「缶サット」甲子園で全国2位 栃高生夢の舞台で好成績

缶サット甲子園で全国大会2位に輝いた栃木高の生徒ら

 【栃木】空き缶サイズの模擬人工衛星(缶サット)を打ち上げ、技術力や創造力などを競う高校生の「缶サット甲子園」全国大会で、栃木高の物理班缶サットグループが2位に輝いた。メンバーらは休日もグラウンドに集まり、機体の打ち上げと分析、修正を繰り返した。たゆまぬ努力が実を結び、同校で過去最高成績となる大成功を収めた。

 同大会は「理数が楽しくなる教育」実行委員会主催。缶サットを打ち上げ、それぞれが考案したミッションに取り組み、技術力に加え、ミッションに関する分析や考察、プレゼンテーション力が評価される。同校は文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、その一環で当時2年生の3年生10人が出場した。

 同校のミッションは、パラシュートが付いた缶サットを高さ約70メートルまで打ち上げて地上のマーカーを撮影し、写真と缶サットのセンサーからマーカーの位置を特定する内容。メンバーらは缶サットモデルを30通り以上作るなど試行錯誤を重ねたほか、英語の文献も読み込み、大学レベルのデータ分析もして臨んだ。

 大会は3月、千葉工業大(千葉市)で開かれた。新型コロナウイルス対策のため、機体を会場に送り、主催者が打ち上げる方式で実施。機体が同校に戻ってきた後は事後プレゼンテーションに向け、メンバー同士が夜も電話をつなぎながらデータ分析やプレゼン準備を続けたという。

 グループリーダーの秋草大誠(あきくさたいせい)さん(17)は「優勝は逃したが、中学生の時から出場を夢見ていたのでうれしい」と話す。

 大空へ打ち上げられた缶サット内部には、メンバーのほか先生や先輩たちの名前、後輩への感謝のメッセージをプリントした。ミッションを1年時に考案して以降、周囲の力を借りながら進めてきたといい、メンバーたちは「自分たちだけの力ではない」と口をそろえた。

 

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