教員免許偽造し勤務した元講師に猶予刑 福井地裁判決、裁判長が説諭

福井県の福井地方裁判所

 福井県福井市内の特別支援学校に講師として採用された際に偽造した教員免許を提示したとして、有印公文書偽造・同行使の罪に問われた会社員の男(27)=福井市=の判決公判が5月31日、福井地裁であった。河村宜信裁判長は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

 判決理由で河村裁判長は、被告が教員免許を取得できる見込みがないことを分かりながら、両親に「免許は取得できる」などとうそをつき続けていた経緯について、「自らが重ねたうそを取り繕うために犯行に及んでいて動機に酌むべき余地は全くない」と非難した。一方、事実関係を認め反省していることなどから執行猶予が相当とした。

 その上で河村裁判長は「やりたいことがあるのなら、やるべきことはやらないといけない。今回のような失敗はこれで最後にして」と説諭した。

 判決によると、被告は2018年11月ごろ、インターネットカフェで特別支援学校教諭1種など3通の免許状データを作成し、京都府教育委員会の公印を模した角印をそれぞれに押して偽造。さらに偽造免許を同月21日ごろ、特別支援学校に提示し、行使した。

 被告は18年10月に採用され、非常勤講師などとして約2年8カ月にわたって勤務した。

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