仙台市消防局の青葉デイタイム救急隊 発足から2カ月 日中の態勢強化や救急を離れた職員の受け皿に

4月に発足した、仙台市消防局の青葉デイタイム救急隊です。日中の救急態勢の強化や、育児や介護などの理由で救急の現場を離れた職員の受け皿になっています。発足から2カ月、デイタイム救急隊の1日に密着しました。

救急要請を受け、救急車に乗り込む隊員たち。4月に発足した仙台・青葉消防署の青葉デイタイム救急隊です。
隊を率いるのは、3人の子どもがいる石堂里佳さん(40)。22歳で救急救命士になりましたが、出産を機に現場を離れていました。デイタイム救急隊の発足に合わせ、10年ぶりに現場に復帰しました。
青葉デイタイム救急隊石堂里佳さん「子育ての間、24時間の交代制勤務、救急現場で救急救命士という資格を生かした業務に就くことがなかなか難しかった。デイタイム救急隊の救急隊員として活動できることに、とても誇りを持っています」

救急要請の増加に対応

青葉デイタイム救急隊

デイタイム救急隊は、平日の午前8時半から午後5時まで勤務します。石堂さんを含め、33歳から62歳までの4人が配属されています。
東北では初となるデイタイム救急隊。発足の背景には、救急要請の増加があります。

4月に発足4人が配属

青葉消防署の出動件数は、2019年に過去最多の6369件を記録。2021年も5028件と高止まりが続いています。昼間の人口が多い仙台市中心部を管轄していることから日中の救急搬送が多く、午前10時から正午までが最多の672件に上っています。午前8時から午後6時までで見ると2917件と、全体の6割を占めています。
仙台市消防局管理課小倉弥課長「日中だけに限定したデイタイム救急隊を青葉消防署に配置して、救急需要の急増した場合でもより迅速な対応ができるようにということで導入した」

24時間勤務を離れた職員の受け皿に

救急要請で出動

デイタイム救急隊は、育児や介護などの理由で24時間勤務の救急の現場を離れた職員の受け皿にもなっています。
この日の朝礼を終え、事務作業をしていると1件目の救急要請です。男性の具合が悪くなったという通報。
隊員たちは、すぐさま医療用の手袋を装着し、救急車で向かう先を地図で確認します。2階から階段を駆け下り、感染防護服を素早く着用。救急車に乗り込んで現場へと向かいました。チャイムが鳴ってから救急車が出発するまでわずか2分。

青葉消防署では、これまで24時間勤務の2つの救急隊で対応していて、日中に出動が重なった場合、周辺の消防署などの救急隊が出動していました。そのため、現場到着に時間がかかるケースもありました。
デイタイム救急隊の発足で、平日の日中は3つの隊が常駐することになり、救急体制の強化や到着時間の短縮が図れます。

出動から約1時間10分。活動を終えた隊員たちが戻ってきました。
青葉デイタイム救急隊石堂里佳さん「Q.1回目の出動でしたが、大体、午前中1回は普通に出動がありますか?」「A.そうですね。1件だと少なくて2件とか3件が時間的にマックスなところかなと」

消防署に戻ると、出動の記録などを取りまとめる事務作業が待っています。現場の様子について上司に報告をしていると、5分も経たないうちに再び救急要請が。
デイタイム救急隊に休む暇はありません。

救急を離れた職員の受け皿に

午後1時20分。この日、2回目の出動を終え、戻ってきました。ようやく昼食です。カップラーメンを準備しているのは、最年少の加藤弘輔さん(33)。以前は、24時間勤務の救急隊にいました。4月に2人目の子どもが生まれたばかりです。
青葉デイタイム救急隊加藤弘補さん「家族との時間も充実させたいなと思っていた時に、デイタイム救急隊に配属になった。今まで泊まり勤務で土日の勤務もあったのが休みになったので、遊びに行ったり家族の時間も増えた」

デイタイム救急隊の発足から2カ月。1日の平均出動件数は4月が3.6回、5月が3.4回でした。
仙台市消防局では、デイタイム救急隊の効果を検証し救急隊を更に増やすか検討することにしています。
青葉デイタイム救急隊石堂里佳さん「いろんな選択肢が増えることは、自分の能力も充分に発揮できる場所が増えるのは、とても組織としても良いんじゃないかなと私自身は思う。発隊のメンバーなので、その部分ではしっかりそういった姿を見せていけるようにしていきたいと思う」

© 株式会社東日本放送